106号

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82 高知論叢 第106号て把握されない場合であっても,遊休農地の周辺の所有者等からの申出により農業委員会が必要な措置をとることになっており(31条),また遊休農地の所有者等が確知できない場合には,公告(32条....

82 高知論叢 第106号て把握されない場合であっても,遊休農地の周辺の所有者等からの申出により農業委員会が必要な措置をとることになっており(31条),また遊休農地の所有者等が確知できない場合には,公告(32条但書)により一連の手続きが進められることになっている。特定利用権の設定等を待つ時間のない緊急時については,病害虫の発生,土砂の流出等妨害の除去について,市町村長名で措置命令(44条)が出せることになっており,その場合の支障除去費用は土地所有者等が負担することとなっている。改正農地法では,旧基盤強化法と異なり市町村内の全ての農地について例外なく適用されることとなっている。また,旧基盤強化法では市町村構想の枠内で特定法人貸付事業と遊休農地対策が連動することが可能となっていたが,改正農地法に市町村構想のような枠組みはなく,従って遊休農地対策と一般法人が連動するといった仕組みにはなっていない。一般法人等が貸借で農業参入する際には「地域調和要件」を満たす,すなわち周辺の農業に悪影響がない形で営農する,集落作業等にも協力するといったことは求められる( 3 条3 項)が,遊休農地にしか参入できないというわけではない。遊休農地対策として特定利用権の設定を受けるのも,新規参入者とは限らない。このほか,旧基盤強化法では遊休農地である旨の通知・公告・勧告は市町村長が行うこととなっていたが,改正農地法では勧告までの手続きを一貫して農業委員会が行うこととなっている。3 -2. 遊休農地対策規定の適用概況2009年改正後,農地法に移行した遊休農地対策規定に基づく措置は,旧基盤強化法の時からの実績も含め,継続的に農林水産省がその実施状況を公表している19。それによると,2006年度から2009年度では,旧基盤強化法27条の遊休農地の所有者等に対する農業委員会の指導は,毎年12,000件程度なされていたが,27条の2 の「特定遊休農地である旨の通知等」および27条の3 の「特定遊休農地の農業上の利用の増進に関する勧告等」に関する実績は4 年間でいずれ19 農林水産省HP参照(2013年1 月)。http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/pdf/sidou.pdf