106号

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88 高知論叢 第106号いて勧告の要否を検討している。検討の結果,勧告が必要であると判断された場合には,具体的な勧告内容を案として農地部会に上程し,勧告の要否を決定している。以上のようなプロセスを経て,平....

88 高知論叢 第106号いて勧告の要否を検討している。検討の結果,勧告が必要であると判断された場合には,具体的な勧告内容を案として農地部会に上程し,勧告の要否を決定している。以上のようなプロセスを経て,平成22年度は2 件,2 ha,うち田1件,0.6ha,畑1 件,1.4ha,平成23年度は2 件,1.4ha(いずれも畑)について勧告を出した。A市の遊休農地に関する措置の運用上の特徴は,図2にみられるように法規定よりもより多くの段階を設けて,きめ細かな指導を行うことを原則としていることである。30条の「指導」の段階において,担当委員を指名して調査,指導させ,さらにその指導で足りない場合に文書による指導を行っている点は特筆すべきことである。また,所有者等に改善要求をするだけでなく,農業委員会側も指導開始と同時に受け手の掘り起こし活動を始めるなど,当事者意識をもって遊休農地解消に向けた取り組みを行えるよう,仕組みを整えている。法改正を単なる契機と捉え,改正法をそのまま適用していくのではなく,地域の実情に応じた独自の仕組みをきちんと用意することができたことが,A市が全国に先駆けて「勧告」にまで踏み切れた土台となっているものと推察される。(3)青森県A市の遊休農地対策規定の適用実態勧告が出された4 件の詳細について,<参考:青森県A市の農地法34条適用事例>に示した。ケース(1)は,基盤整備済みの田が長年耕作放棄され,農地法改正前から懸案となっていた事案である。現地視察でみたところ,圃場整備区域の中心に近い農道の交差する非常に良いところに位置していて,そこが雑木林のようになっているため,耕作放棄が非常に目立つ事案であった。農業委員会事務局によると,所有者側は樹木については防風林等の作用があり,地域の環境保全に役立っているという主張をしており,農業委員会の判断とは大きな隔たりがあるため,勧告にまで至ったとのことであった。現地を見た限りでは,樹木の一部は伐採され,周辺農地への影響はかなり軽減されている模様であったが,農地として利用可能にするには全面的に伐採,伐根等を行う必要があるものと思われた。立地は好条件であるので,復田さえできれば農地として利用可能であると思われる。復田作業と同時並行で受け手掘り起こし活動を