106号

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90 高知論叢 第106号以下に進まないよう制度設計がなされているのである。樹園地は元々斜面等に多く,条件の良い農地とは言えない事例が多くあり,また周囲との調和を考えればりんご園にするしかないのが実際のところも多く,昨今の農産物生産を巡る厳しい状況に鑑みれば,「利用」されないのは仕方ないこととして,全ての遊休農地について厳しい指導をしているわけではない。しかし,A市で最も懸念しなければならないのは遊休化した農地の周囲への悪影響の発生であり,農業委員会として放任樹は放置しておくことができない問題である。そのために「通知」を出した効果がなければその先の「勧告」にまで至る場合もあり得るのである。上記のような事情により「勧告」の対象は,ケース(1)は例外として,ケース(2)から(4)までのような,遊休化したりんご園への対策を主たる目的に今後も展開していくであろうとのことであった。遊休農地対策規定による遊休農地の対策については,上記のような農業委員会の「勧告」を最後の砦とした自己完結型といっていいモデルが現在のところ十分機能しているが,ケース(3)のように,管理まではできてもなかなか利用までつながらないケースもあり,今後の課題となろう。担い手不足や農産物価格の低迷等,昨今の農業を巡る厳しい情勢から,あるいは事実上りんご園としてしか有効利用がしにくいという地域の特性から考えると,「管理」から「利用」へとつなげるのは容易ではないが,知恵を絞って候補を掘り起こし,利用につなげていけるよう期待したい。<参考:青森県A市の農地法34条適用事例>ケース(1) 2010年度 田64a 農地法§30.3.1該当 法33条第1 項により届け出た利用計画の内容が,「農業の利用保全,環境保全の為育成助長を期す」とするものであり,法34条1 項1 号に該当するものと判断し,2010年11月農地部会において勧告することを決定。勧告の内容:次のいずれかを実施すること①雑木の伐採・伐根および撤去後に耕作の目的に供すること②効率的に利用できる者への利用権の設定等