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94 高知論叢 第106号に基盤強化法に基づいて農業振興地域(856ha)内にある農地の全筆調査を実施し,台帳を整備していたこともあって,農地法に遊休農地対策の規定が移行した後もスムーズに全筆調査を実施できてい....

94 高知論叢 第106号に基盤強化法に基づいて農業振興地域(856ha)内にある農地の全筆調査を実施し,台帳を整備していたこともあって,農地法に遊休農地対策の規定が移行した後もスムーズに全筆調査を実施できている。一方,調査対象地域が格段に広がったとはいえ,遊休農地面積の増加傾向は顕著である。地域における農業の担い手不足,高齢化が進んでおり,こうした傾向は,認定農業者の数が2006年の62経営体から2011年の48経営体へと5 年間でおよそ23%減少していることなどからも明らかである。2007年度の農業委員数は16名で,事務局は3 名体制(専任2 名,兼任1 名)であった。農業委員および事務局職員の調査の熟練度を考えても,農地の利用状況調査における委員会の負担は旧基盤強化法時と比べ格段に重くなっている。厳しい状況の中にあっても全筆調査をし,その結果をすべて台帳に記入しているB町農業委員会の活動は特筆すべきものである。前述のようにB町ではいわゆる「赤」の農地については農地面積に加えていないが,全筆調査によって把握はしており,その面積はおよそ267haである。「緑」「黄」「赤」の筆数合計は約10,000筆である。遊休農地対策はどの市町村でも困難を伴っており,人的に余裕のない市町村農業委員会においてともすれば対象区域を限定しての実施にならざるを得ないところ,B町においては遊休農地をすべて把握しておかないと対策を十分に考えられないとの観点から実施しているものである。こうした地道な努力の積み重ね,法に基づく任務の厳正な実施が,後述の農地法32条適用の基礎をなしているものと見ることができる。B町では,2011年2 月に農地法30条3 項に基づく遊休農地に対する指導通知,同年4 月に同法32条に基づく遊休農地通知および同年9 月に33条1 項に基づく利用計画届出書の提出等がなされ,一連の遊休農地対策規定が実際に適用された。農業委員会事務局の話によると,2007(平成19)年に町内C地区に農地・水環境保全協力金の交付を受けているD集落があり,保全活動の代表であり,当該遊休農地に隣接する農地を耕作するZ氏から地区担当の農業委員に耕作放棄された農地に雑草が生い茂り,周囲の農地に悪影響を及ぼしている旨の申し出があったことが本件の端緒であった。当該農地は所有者が既に死亡しており,相続人であるY氏とY氏の甥であるX氏とも他出していた。当時のB町農業委員会前事務局長がY氏と同地区出身でしかも同級生であったことから連絡先を