106号

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2009年農地法改正における遊休農地対策規定とその適用の現段階97いきめ細かな配慮があって実現したものとみることができる。事態の把握から最終的な解決にいたるまで,実に5 年の期間と20回以上に及ぶやりとりを経た....

2009年農地法改正における遊休農地対策規定とその適用の現段階97いきめ細かな配慮があって実現したものとみることができる。事態の把握から最終的な解決にいたるまで,実に5 年の期間と20回以上に及ぶやりとりを経た末の成果である。一方,遊休農地である通知を出した直後に事務局長の交代があり,前事務局長が必ずしも最終的な解消策まで考えていたというわけではなく,場合によっては「通知」「利用計画の届出」で収束せずに「勧告」やその先にまで至ってしまう可能性もあった。今回の措置は,引き継いだ現事務局長が所有者等との交渉をしながら考え,作り出したものである。その意味で結果がたまたまそうなったといえる面もあるので,次回以降は今回の経験を活かした対応ができるように体制を整える必要があろう。また,青森県A市のケース(3)のように,本件も事実上「管理」までで,「利用」はその先の課題として残っている。B町およびB町農業委員会に,今以上に一歩踏み込んだ活動を期待したい。4-3. 遊休農地対策規定適用の現段階遊休農地対策規定について,改正農地法30条の「指導」に留まらず,それ以降の規定の適用に進んだ事例として,青森県A市および高知県B町の実態を,現地調査に基づき簡単に紹介した。A市のように「勧告」まで進んだ事案は現在のところ出てきていないが,3-2. で示したように,B町と同様「通知」に至っているケースは大幅に増加しており,法規定の通りに事態が進むとすれば,通知に至ったうちの一定程度は「勧告」にまで至ることが予想される。本稿で紹介した事例はいわゆる農村地帯における遊休農地対策のものであったが,農村部に限らず都市農地でも,適用にいたる事情は異なるであろうが同様の事例が出てきている模様である31。遊休農地,耕作放棄地は法改正以前から全国に拡がっており,いずれはどの地域においても法の適用が順次なされていくものとみられる。その際,A市,B町の適用が実際にどこまで進んだか,どのように進んだかを整理しておくことは,他の市町村の参考になるであろう。まず,A市,B町とも法を規定通りに運用しているのではなく,それぞれの31 全国農業新聞2012年9 月28日。東京都下多摩地区の市町村農業委員会で2012年度中に通知,勧告まで実施する予定との記事がある。