高知論叢107号

高知論叢107号 page 109/180

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日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究66服部卓四郎の上司であった田中新一部長は常に対立したと述べた。「外交を成功させようとする努力と、外交を破壊して戦争に持ち込もうとする努力と....

日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究66服部卓四郎の上司であった田中新一部長は常に対立したと述べた。「外交を成功させようとする努力と、外交を破壊して戦争に持ち込もうとする努力とが正面から激突していたのが、九月の日本最高指導部の実情」六一であり、自分は前者に属したと回想した。資料一九「石井秋穂大佐日誌」は、当日に書かれた日誌であり、ここには資料一七.一八のような脚色はない。同日誌から、石井秋穂こそ、天皇や高官が常に悩んだ、開戦を如何なる名目とするのかについて、海軍と練った陸軍の当事者であった事を明らかにしている。また、連絡会議の議事、調整にも深く関与していた。以下に御前会議の石井の日誌を示す。九月六日 御前会議帝国国策遂行要領「席上外務大臣ハ新条約意味ヲ『将来支那ト締結スル條約』ト説明ス」(これは小諸にて記入)実質上の妥協動義ママノ空気ナリキ 決定ノ文案トハ全ク異ナル空気ナリ」と述べている。九月八日Nノ條件ニ付 海将ノ取扱ヒ方ヲ局長ニ具申 海軍トモ協議ス十一月十八日(火)資料一八「石井秋穂大佐質疑応答綴」五八