高知論叢107号

高知論叢107号 page 115/180

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日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究60ルニ当リ論議レラレタリ 而シテ作戦ヲ過早ニ暴露セサルコト及国際条約ニ基ク手段ニ就テハ正当ヲ斯スルコトトシ米国務省ニ野村大使ヲシテ手交スルハ一時間廿前ト....

日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究60ルニ当リ論議レラレタリ 而シテ作戦ヲ過早ニ暴露セサルコト及国際条約ニ基ク手段ニ就テハ正当ヲ斯スルコトトシ米国務省ニ野村大使ヲシテ手交スルハ一時間廿前トシ文案及内地発信時間等ハ統帥部及外務省ニ於テ責任ヲ以テ其実行ニ当ルコトママセリ 従テ国交ノ断絶従テ帝国トシテ自由行動ニ移ルマンマトハ外務大臣ノ責任ニ於テ手落ナク実施セラレタルモノト今日ニ於テモ考ヘ居レリ 勿論之レニ欠陥アリトセハ総理大臣トシテ当然其責ニ任スルリママ論ナシ 最后国交断絶ノ案ハ当時外務大臣其責任ニ於テナサレシ閣議ニ報告ナシ二.戦宣ノ大詔ハ其第一項ニ見ル如ク主トシテ帝国々民ニ対スル宣示ニシテ開戦成ル可ク速カニ其手続ヲ踏ムノ着意ノ下ニ九日午前之レヲ枢密院ノ御諮問ノ手続ヲトレリ国内問題ナル以上之レヲ事前ニ手続スルコトハ作戦漏洩ノ恐レアルコトヲ素シ趣ケタリ 要スルニ宣戦ノ大詔ノ取扱ヲ真珠湾攻撃ヲ秘匿ノ手段トシテ取扱フ如キ意志ハ毫モナカリキ 此ノ点永野元帥ハ戦宣布告カ真珠湾攻撃開始前午前二時前ニ行ハルゝモノト了解セリトノ事アルモ之レ大ナル誤解ニシテ政府トシテ知ラサハ処午前三時トスレハ日曜日深夜枢密院ニ御諮洵トナルコトニシテ日本ノ慣例ヨリモ政府トシテ斯如キ諒解ヲ与フルコトナシ 同元帥ハ恐ラク最後通牒ト混同シアルニアラサヤ 元帥ノ斯ノ如キ真実ニ相違シ然モ国家意志トシテ故意ニ宣戦布告ヲ遅ラセタル如キ印象ヲ世界ニ与フル如キ言動ハ甚タ迷惑ナリ」五五2.「東條英機手記」にみる開戦経過と御前会議の模様以下は前掲「東條英機手記」の要旨である。①九月六日御前会議決定は和戦両様の姿勢とする ②陸相(東條)と首相、外相の対立は、米側が主張を固執して譲らないので政治的解決は米国賛同を得られない五六。他方で、軍事上、経済上の圧迫は日を追って増加している。いたずらに日時を経過すると日本はますます苦境に追い込まれる。日米交渉の妥結は中旬を目標とすると主張した。これは自分と陸軍統帥部が強硬にこれを主張した。③陸軍統帥部の出先の軍は強硬であり、保証がない撤兵は全く考慮できない。