高知論叢107号

高知論叢107号 page 123/180

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日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究52述通りに答えた。次に、サケット捜査官は外交工作の期限に関して質問した。以下はその調書記録である。木戸「陛下は非常に危険であると言って居られま....

日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究52述通りに答えた。次に、サケット捜査官は外交工作の期限に関して質問した。以下はその調書記録である。木戸「陛下は非常に危険であると言って居られました」捜査官「その後その朝一〇時から御前会議が開かれました。天皇はその御前会議でこの期限について何か言いましたか」木戸「陛下が何かおっしゃったかどうかしりません」と回答するしかなかった。木戸は御前会議に出席していない。しかし木戸は次のように答えている。木戸「外交工作に最重点を置くかどうかと原が質問したとき、海相は答弁しましたが統帥部は答えなかったので、陛下は統帥部を叱責なさって、明治天皇の御歌を引用なさいました。また外交交渉に全幅の努力をするようにと強調なさいました。」捜査官「私の理解では、一時ごろ休憩中(午前中に会議は終わっていた・筆者)にあなたが天皇に会ったとき、天皇は、原が対米交渉を継続するつもりがあるかどうかと質問したときに両総長が答えなかったことに遺憾を表明しました。そのとおりですね。」資料一四「木戸幸一日記」(昭和一六年九月三日~七日四三))