高知論叢107号

高知論叢107号 page 133/180

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日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究42回御前会議が開かれた。同議事録には当日配布された資料の一部の他に、総理大臣の開会あいさつ、軍令部総長の説明、参謀総長の発言、外務大臣の外交に関する説明....

日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究42回御前会議が開かれた。同議事録には当日配布された資料の一部の他に、総理大臣の開会あいさつ、軍令部総長の説明、参謀総長の発言、外務大臣の外交に関する説明、内務大臣による内政、輿論指導に関する説明、統帥部から戦時国力、経済力に関する説明の他、質疑応答資料からなっている。質疑応答資料集は三一項目四九ページにわたる資料であり、すでにその主要部分は『杉山メモ』の資料中に刊行されている。「御前会議議事録」の冒頭には以下のように議事概要が示されている。帝国国策遂行要領(陸軍)「帝国国策遂行要領」ニ関する御前会議一.期日 昭和十六年九月六日由午前十時至十二時二.出席者 近衛内閣総理大臣 豊田外務大臣 田辺内務大臣 小倉大蔵大臣 東條陸軍大臣 及川海軍大臣 鈴木企画院総裁(有末が手書きで加筆挿入・筆者) 杉山参謀総長 永野軍令部総長 塚田参謀次長 伊藤軍令部次長 原枢密院議長富田内閣書記官長 武藤陸軍軍務局長 岡海軍軍務局長三.午前十時開会約一時間ニ亘リ首相、外相、企画院総裁、陸海軍両総長ノ御説明アリタル後、主トシテ原枢府議長トノ間ニ質疑応答アリテ正午閉会ス同日の御前会議議事要録筆者作成を以下に示した。一.内閣総理大臣が口述した。開会挨拶の挨拶をし、外交交渉が一定期間内に功を奏せざるに至りたるときは、「自衛上最後ノ手段ニ訴フコトモ巳ムヲ得ナイト存ズル」意見が一致して帝国国策遂行要領を提出した。二.次いで軍令部総長が報告した。長期作戦に応じる。第一弾作戦の重要性、敵軍要地より資源地を占領する。英国は欧州戦争の継続から極東に派遣する海軍力が不足している。大阪冬の陣を例にして開戦せねば「平和を得て翌年手も足も出ぬような」事になるであろう。 三.参謀総長は軍令部総長の説明に同意した。戦争か、外交交渉かに関して、統帥部は和戦両様の構えであり、速やかに作戦準備を行う。四.外務大臣は日米了解案交渉の経緯を報告した。(議事録一〇部の内七部が外相の説明資料)