高知論叢107号

高知論叢107号 page 149/180

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日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究26資料四「昭和日記」と「機密戦争日誌」の表紙(二)参謀本部第二〇班作成記録の検討1.戦史記録の由来「機密戦争日誌」並びに「上奏時御下問奉答綴」は参謀次長....

日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究26資料四「昭和日記」と「機密戦争日誌」の表紙(二)参謀本部第二〇班作成記録の検討1.戦史記録の由来「機密戦争日誌」並びに「上奏時御下問奉答綴」は参謀次長直属の大本営陸軍部戦争指導班(第二〇班)によって残された。同班の班長(課長)は昭和一一年六月初代石原莞爾に始まる。構成は五人以内の少人数であった。第二〇班の正式名称である戦争指導班とは石原莞爾の時代に附けられた名称であり、有末次班長の時代における実際の仕事は記録・文書作成班であった。御前会議前のみならず、通常の上奏前にも数多くの御下問があり、御下問の前には側近や官僚は周到な準備をした。その記録は部分的に残されている。「上奏時御下問奉答綴」二四は参謀本部第二〇班が作成したとされる、上奏時御下問の際の応答議事録である。原本は防衛省戦史資料室に保存されている。同資料の一部は刊行された『杉山メモ』二五に収録されている。開戦前御前会議の資料は「上奏時御下問奉答綴」の他に「御前会議議事録」、「機密戦争日誌」(「昭和日記」)、高官の手記類がある。二九年(一九五四年)七月保安庁から防衛庁防衛研修所と改称された。『昭和日記』の表紙は戦前期における第二〇班のオリジナルなものに間違いないであろうが、表紙のすげ替え、清書はアメリカから資料が返還された、昭和二九年以降であろう。