高知論叢107号

高知論叢107号 page 151/180

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日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究24資料一「機密戦争日誌」(昭和十六年九月六日)二.今日ノ御前会議ハ特ニ「決ッタ」ト云フ感ジハ湧キ来ラズ 如何ナル意カ?以下は種村佐孝『大本営機密日誌』に....

日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究24資料一「機密戦争日誌」(昭和十六年九月六日)二.今日ノ御前会議ハ特ニ「決ッタ」ト云フ感ジハ湧キ来ラズ 如何ナル意カ?以下は種村佐孝『大本営機密日誌』による同日の記録である。「昭和十六年九月六日午前十時から二時間にわたり御前会議において帝国国策遂行要領を決定した。だが、本日の御前会議は特に決まったという感じはせず、幾多の問題を前途に残している感じである。本決定の骨子は次の通りである。一.帝国は自存自衛を全うする為対米英蘭戦争を辞せざる決意の下に概ね十月下旬0 0 0 0 を目途として戦争準備を完整す。一、帝国は右に並行して米英に対し外交の手段を尽して帝国の要求貫徹に務む。一、日米交渉に依り十月上旬0 0 0 0 頃に至るも尚我要求を貫徹し得る目途なき場合に於ては直ちに対米英蘭開戦を決意す」二三この「日誌」における、同日御前会議の個人的な感想は全く符合しており、同一人物の「日誌」であると見なして間違いない。これは九月六日の御前会議の議事録を作成した実務者の感想を述べたものであった。しかし、後述する陸軍作戦部長「田中新一中将業務日誌」は当日の会議録を仔細に記録しており、そこには議事の曖昧さは書かれていない。また、天皇の御言葉に関する当日会議出席者によるメモは「上奏時御下問奉問綴」「木戸幸一日記」「近衛文麿手記」だけであり、それ以外の会議出席者はだれも語っていない。ところが戦後暫く経過して、自ら回想録と題して口述した後掲の「石井秋穂大佐回想録」では、さらなる物語として脚色された。資料二~三は、参謀本部第二〇班による『昭和日記』を