高知論叢107号

高知論叢107号 page 159/180

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日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究16総長と並立して上奏した。九月八日、内大臣より陸軍軍紀について内奏し、陸海軍大臣に御下問した。九月一九日、陸軍大臣は関東軍が奉天に進出したことを知ってい....

日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究16総長と並立して上奏した。九月八日、内大臣より陸軍軍紀について内奏し、陸海軍大臣に御下問した。九月一九日、陸軍大臣は関東軍が奉天に進出したことを知っているが奏上せず、軍の独断専行である。聖上は首相の承認が必要であると考えておられ、これは無法の挙である。参謀総長はこれに同意して奏上した。しかし、閣議では増派の承認を得られなかった。陛下は行動を拡大せざる様、総長に注意と御下問を行った。九月二二日、閣議は増派には賛成しないが、増派の事実を認め経費を支出する。若槻総理大臣は閣議の決定を奏上した。参謀総長は混成旅団派遣を追認するように内奏した。「陛下より此度は致方なきも将来充分注意せよとの御諚を拝す」朝鮮軍司令官は独断専行であり、並に参謀総長の不取締等に就ての責任は時局平静を待て詮議する必要がある。参謀総長の代奏を武官長が行った。九月二二日、陛下は行動を拡大せざる様、総長に注意と御下問を行った。同日、閣議で増派の賛成はしないが、増派の事実を認め経費を支出する事とした。若槻総理大臣は閣議の決定を奏上した。参謀総長は混成旅団派遣の追認を内奏すると「陛下より此度は致方なきも将来充分注意せよとの御諚を拝す」との御言葉があった。九月二五日、若槻総理が満州事変の処理を奏上した。一〇月二日、ソ連の情勢判断を行い、シナ、米、ソ連を同時に敵国にした場合の所要兵力について検討した結果、二八~三〇個師団が必要であり、陸軍の装備の問題もある。同日、出兵は国務大臣の輔弼の範囲内か否かと清水澄に問うと、清水は範囲内とする。宮内省御用掛も追認出兵の責任は内閣にあると説いた。朝鮮出兵は閣議決定を行っていない。形式は不備だが、首相が出兵を承認したので内閣は追認したと解する。陸相は閣議を経ていないが、内閣不承認とはいえないと同意した。