高知論叢107号

高知論叢107号 page 161/180

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日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究14総理大臣32外務大臣14内大臣6農林大臣6大蔵大臣5元老3台湾総督2逓信大臣2内相2茨城県知事1横浜市長1会計検査院長1岩手県知事1宮城県知事1熊本県知事1検事総長1公....

日米開戦前の御前会議と帷幄上奏に関する書誌的研究14総理大臣32外務大臣14内大臣6農林大臣6大蔵大臣5元老3台湾総督2逓信大臣2内相2茨城県知事1横浜市長1会計検査院長1岩手県知事1宮城県知事1熊本県知事1検事総長1公使1参謀本部中将1司法大臣1神奈川県知事1枢密顧問官1拓務大臣1朝鮮総督1長崎県知事1鎮守府長官1鉄道大臣1東京府知事1栃木県知事1奈良県知事1内務大臣1武官長1文部大臣1満鉄総裁1計96表二 昭和天皇への国務上奏回数(昭和元年~七年『侍従武官長奈良武次日記』より集計)方官吏からの奏上もしばしば行われた。3.昭和天皇への帷幄上奏記録以下に、昭和四年から七年まで、奈良武次武官長が在任中において日記に記した帷幄上奏記録(軍務上奏と作戦上奏に筆者が区分した)の日録を抜粋した。天皇が統帥事項に実質的に深く関わっていた事は明瞭である。山東撤兵延期への不同意、張作霖事件における田中首相への叱責は昭和天皇の英断と言うべきであったが、後日『独白録』では、裁判を意識して、立憲君主のあるべき姿ではなく、若気の至りとしてこれを反省した。満州事変に関して、朝鮮軍司令官の独断専行とする参謀総長に、天皇は不拡大を指示し注意と御下問を行った。(若槻)内閣は増派の賛成はしないが、増派の事実を認め経費を支出する事の上奏を行い、天皇は「此度は致方なきも将来充分注意せよとの御諚」を行い追認した。この時期において、関東軍について首相が上奏することがあった。昭和六年一二月二七日、武官長、侍従長は「統帥権を行政権に隷属せしむるが如き観」があるとして、軍務上奏の際には犬養首相を「別に召されたくまた後の近衛首相は、しばしば統帥部を並立して上奏した。」とある。陸軍出身の田中義一首相の際には統帥事項の上奏には首相が同席した。ところが純粋な政党出身の犬養首相時代には侍従長、侍従武官長が伝奏した。