高知論叢107号

高知論叢107号 page 37/180

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高齢者の長期療養ケアに関する一考察35必要。医療区分2,3の患者でも在宅での受け入れ態勢が整えば在宅へ移行できる方がいるが,現在では困難。今後の超高齢化社会へ向けての課題だと考える。・当病棟は精神科病院....

高齢者の長期療養ケアに関する一考察35必要。医療区分2,3の患者でも在宅での受け入れ態勢が整えば在宅へ移行できる方がいるが,現在では困難。今後の超高齢化社会へ向けての課題だと考える。・当病棟は精神科病院の中の療養病棟であるためか,入院患者は軽度の精神症状か認知症を伴う方が多く,現在入院中の方は在宅での医療・介護の困難な方がほとんどである。5.まとめ以上みてきたものは本調査結果の一部分ではあるが,療養病床の現状における様々な問題点が浮かびあがった。先述したように,2008年度の診療報酬の改定により,医療療養病床の入院患者に医療必要度を測る「医療区分」と介護必要度を測る「ADL 区分」が導入され,それぞれの区分を組み合わせて患者を分類することとなった。それぞれを1 ~ 3 に区分し,計9 区分に応じて入院基本料などの診療報酬を差別化することで,医療必要性が低いとされる患者の退院を促進しようとするものである。高知県が策定した「第1 期 高知県医療費適正化計画(平成20年度~平成24年度)」において,「医療の効率的な提供の推進に関する達成目標」として,療養病床に関する具体的な数値目標が掲げられた。すなわち,医療療養病床を,回復期リハビリテーション141床を含めた3,082床以下というものである。具体的には,介護療養病床のうち医療区分3 に相当する病床数は医療療養病床に転換し,医療区分2 に該当する入院患者の約3 割は老人保健施設で対応が可能としたうえで,医療区分1 に相当する病床数とあわせて老人保健施設に転換し,医療区分2 の7 割に相当する病床数は医療療養病床に転換する,という基準で算定されている3。これに関連し,本調査においては,特に患者の区分に用いられる医療区分について,回答施設の84.6%がそのあり方そのものに問題があると考えていることが分かった。医療区分1 や2 に該当する患者が果たして医療の必要度が低く,3 高知県「第1 期 高知県医療費適正化計画(平成20年度~平成24年度)」参照。