高知論叢107号

高知論叢107号 page 39/180

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高齢者の長期療養ケアに関する一考察37かつ容易に医療機関を利用することができない地区」とされており,厚生労働省が「無医地区等調査・無歯科医地区等調査」においてその地区数や地区の状況を把握している。この調....

高齢者の長期療養ケアに関する一考察37かつ容易に医療機関を利用することができない地区」とされており,厚生労働省が「無医地区等調査・無歯科医地区等調査」においてその地区数や地区の状況を把握している。この調査は5 年ごとに実施されており,直近の「平成21年度無医地区等調査・無歯科医地区等調査の概況について」(2010年10月,以下「無医地区等調査」と略称する)から,まず高知県の状況を概観する。2009年10月時点で,全国の無医地区数は705,人口は136,272人であり,1971年の調査開始時の2,473地区,884,844人から一貫して減少している。都道府県別に地区数(括弧内は人口)をみると,もっとも多いのは北海道の101地区(13,086人),次いで広島県で53地区(9,467人),高知県は45地区(7,352人)と全国で3 番目に多くなっている。先にみたとおり,高知県は人口当たり医療機関がきわめて多い県である一方,多くの無医地区を抱えており,医療機関の偏在は顕著である。高知県における45の無医地区の分布を二次医療圏ごとにみると安芸圏域に5(県下無医地区の11.1%),中央圏域に21(46.7%),高幡圏域に11(24.4%),幡多圏域に8(17.8%)となっており,北川村や大豊町,仁淀川町,梼原町などの中山間地の町村だけでなく,室戸市や安芸市,須崎市,四万十市や宿毛市といった市域にまで広く存在している。2.「無医地区」住民の医療ニーズと医療アクセス先にみた厚生労働省の「無医地区等調査」では,無医地区の人口や世帯数などの他,電話や自家用車の保有状況,最寄りの医療機関への救急搬送の方法や所要時間,診療体制や病床数などの項目が調査されている。しかしながら,無医地区住民の健康状態や医療ニーズ,医療アクセスの現状などについては全く明らかにされていない。2012年11~12月,本調査研究の一環として,高知県でもっとも多くの無医地区を抱える仁淀川町を対象に,無医地区住民の健康状態や病歴,家族の状況などをふまえ,生活ニーズや医療ニーズ,医療アクセスなどについてヒアリング調査を実施した。仁淀川町には7 つの無医地区があり,いずれも過疎地域自立