高知論叢107号

高知論叢107号 page 42/180

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40 高知論叢 第107号活全般における移動の困難さと,健康についての不安に関するものが多かった。仁淀川町社会福祉協議会が運営するコミュニティバスは町の運営する定期バスよりも枝線を重点的に運行する点で住民に....

40 高知論叢 第107号活全般における移動の困難さと,健康についての不安に関するものが多かった。仁淀川町社会福祉協議会が運営するコミュニティバスは町の運営する定期バスよりも枝線を重点的に運行する点で住民にとってはきわめて重要なものであるが,1週間に1便のみ,仁淀川町の中心地で役場や診療所のある集落までを往復する経路のみの運行である。また,復路のバスの待ち時間が長く,まだまだ不便である。ほとんどの住民がコミュニティバスの便を増やすことを強く要望している。停留所についてもさらにきめ細かく,できれば自宅前まで来てほしいという希望もある。独居であり,また歩行に困難が伴う場合など,歩いてまたは車いすで幹線や停留所までの移動することが困難であることから,バスの利用を断念することもある。買い物や役場などに行く場合,より柔軟に利用できるオンディマンド型の運用が望ましい。現在は,コミュニティバス路線で,通常の利用が少なく定期的な運行がない集落でも,数日前に予約をすれば週1回の決められた時間に運行するというものである。事前に予約が必要であり,また運行日と時間も決められており,決して利用しやすいわけではない。特に身体の不調や急変などで医療機関を受診するような場合,こうしたコミュニティバスに頼ることはできない。住民からは,行きたい時に行きたい所へ移動できる真にオンディマンド型の乗合バスを要望する声が強かった。一方,現在の医療提供体制についての改善点や要望についても質問したが,当初予想していた「近くに病院が必要だ」,「新たに医療機関を設置してほしい」,「訪問診療や訪問看護の回数を増やしてほしい」などの回答は今回の調査からは得られなかった。さらに詳細な受診行動や入退院や入所の経緯などを訪問診療や訪問看護の利用状況とあわせて検討する必要があり,これらについては今後の研究課題である。おわりに当初2011年度末とされていた介護療養病床の廃止期限を6 年間延長する施策が現在とられるなか,医療療養病床は2008年から2011年までの間に約25万床か