高知論叢107号

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高齢者の長期療養ケアに関する一考察3実態調査などから明らかにし,医療費適正化施策の検討を行うともに,地域ケアにおける課題を検討することを目的に,2009年度から2012年度にかけて行った調査研究の結果であり,....

高齢者の長期療養ケアに関する一考察3実態調査などから明らかにし,医療費適正化施策の検討を行うともに,地域ケアにおける課題を検討することを目的に,2009年度から2012年度にかけて行った調査研究の結果であり,「高知県における高齢者医療の現状と課題 新たな保険化と医療費適正化対策の検証 」(研究種目:若手研究B,課題番号:21730448)の一環として行ったものである。本調査研究では,高知県における療養病床を有する医療機関を対象に行った「療養病床の実情に関するアンケート調査」を実施し,また併せて,療養病床の入院患者とその家族を対象としたヒアリング調査も行った。さらに,地域ケアの課題を抽出するために,高知県における「無医地区」の実情について,主として地域住民を対象に医療アクセスとニーズ把握を中心としたヒアリング調査を実施した。本稿においては,両調査の結果報告と分析を行い,高齢者の長期療養ケアの現状と問題点を検討することを目的とする。第1章 高知県における医療施設等の概況1.高知県の概要2011年の国勢調査(2011年10月)によれば,高知県の人口は約75.8万人,高齢化率は29.0%に達し,少子高齢化「先進」県である。高知県は約7100平方キロメートルの県域のうち,森林が約84%(日本で最も高い森林率である)を占め,中核市である高知市と他の市域及び中山間地の町村との間には,人口や高齢化率だけでなく,雇用や所得などの経済格差,社会・地域資源の偏在が著しいことが特徴である。一方,県庁所在地である高知市の人口は約33.8万人(2012年4 月,住民基本台帳)と県人口の約45%を占めるが,高齢化率は24.0%(2012年4 月,住民基本台帳)と全国の平均的な水準である。その一方,高齢化率が50%を超える「限界自治体」だけでなく,「限界集落」を抱える町村もあり,地域住民の生活環境の劣化,医療・保健・福祉サービスを含めた生活関連サービスの不足や偏在,地域活動や社会関係の希薄化など,深刻な課題を抱えているといえる。