高知論叢107号

高知論叢107号 page 79/180

電子ブックを開く

このページは 高知論叢107号 の電子ブックに掲載されている79ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
共同漁業権論争の現在的地平77金の受け入れに関する施設をおこないうることや,組合の信用の向上と金融上の利便を図るための改正がなされた。さらに,昭和18(1943)年には,従来の漁業組合は戦時統制団体として「漁....

共同漁業権論争の現在的地平77金の受け入れに関する施設をおこないうることや,組合の信用の向上と金融上の利便を図るための改正がなされた。さらに,昭和18(1943)年には,従来の漁業組合は戦時統制団体として「漁業会」に編成替えされ,漁業組合に関する規定は消滅し,「水産業団体法」によって置き換えられる。(41頁)このように,明治43年の明治漁業法は数次にわたり改正されたが,漁業権制度に関しては,ほぼ旧漁業法の規定が維持される。(d)現漁業法戦後になり,昭和23年の水産業協同組合法の成立,漁業権等臨時措置法をへて漁業法の改革がなされることになる。(41頁)1949(昭和24)年に現漁業法(新漁業法)が成立するが,同法は「漁業生産力を発展させ,あわせて漁業の民主化を図ることを目的」( 1 条)とするものである。また,従来の漁業法による漁業権を補償金の支払いによっていったん消滅させ,新制度による漁業権を新たに漁業協同組合に免許するという大きな制度改革を行った。(272,273頁)新漁業法における漁業権制度の主な特徴の一つは,自営者免許の原則を掲げたということで,従来の制度にはなかったものである。すなわち,漁業権は,原則として,自営するものに免許される。ただ,共同漁業権と一部の区画漁業権については,例外として,漁業協同組合が自営しなくてももてることにしている。協同組合が自営しなくてももてる共同漁業権および一部の区画漁業権について免許を受けられる適格性のある場合は,関係漁民の3 分の2(世帯単位)以上を組合員とする漁業協同組合または漁業協同組合連合会である。(284頁)新漁業法は,このように自営者免許の原則を採用しつつ,漁業調整委員会に広汎な権限を与え,これによる漁業調整という方式を新たに採用した。(276頁)漁業調整委員会は,漁業権の免許,許可について大きな権限をもつだけでなく,海区全体の総合利用の立場から採補制限,漁業権,入漁権の行使方法,許可漁業の操業方法の是正,漁場紛争の防止・解決等のために必要な指示をする。(277頁)漁業調整委員会による漁業権の免許にあたっては,「適格性」と「優先順位」を基準とする調整方法が採用された。「適格性」とは,免許をうける最小限の資格要件であり,「優先順位」は,適格性ある者のあいだの免許をうけられる