高知論叢108号

高知論叢108号 page 106/136

電子ブックを開く

このページは 高知論叢108号 の電子ブックに掲載されている106ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
104 高知論叢 第108号くなってしまう」という危機感が募った。住民が動かないと,この地域が消滅してしまう。少子化も進行し,小学生が30名程度しかいない。そういう状況の中で,地域の居場所づくりということで,....

104 高知論叢 第108号くなってしまう」という危機感が募った。住民が動かないと,この地域が消滅してしまう。少子化も進行し,小学生が30名程度しかいない。そういう状況の中で,地域の居場所づくりということで,子どもから高齢者まで集まれる「エコミュージアム」が作られた。オオサンショウウオなどの環境学習もできるということで,この居場所は廃校になった中学校を改修して,皆の活動拠点となった。廃校になった中学校の板材を活用し,地域のシンボルを大事に織り込みながら,食事や宿泊もできる地域の居場所づくりという形で再生した。地域福祉の財源を確保するために,子どもから高齢者まで「一日一円募金」にも取り組んでいる。それを財源にして(年間20万円程度),安否確認を兼ねた配食サービスを実施している。その弁当も住民組織で作っている。役員会は8つの部会に分かれ,まさに住民が地域づくりを進めている。JA が撤退し,住民の日用品雑貨を買う店がなくなったが,各戸1000円ずつ出資して自分達で店を作ろうということになり,「万屋」を住民組織で運営している。生鮮食品も買えるし,配達もしてもらえる。ガソリンスタンドも撤退したというので,「油屋」という住民経営のガソリンスタンドを始めている。タクシーやバスが通らなくなったので,自分達で過疎地有償運送「もやい便」を運営している。さらに,子どもが少なくなったので,中学生以下の子どもがいることと,地域活動に参加することを条件に,どんな家に入りたいか,家に入る人が設計段階から関われるという「お好み住宅」を20軒件以上作られている。2階建てで,家賃は月3万円となっている。このアイデアが示された時に,地域の高齢者から反対の声が上がったが,若い人が高齢者を説得した。そのように住民主体の積極的な地域おこし,その為のビジョンである「川根夢ロマン宣言」も,自分達でこれを徹底して議論したことによって作り出されたという。広島安芸高田市川根地域振興会「万屋」(2012. 8. 23-24)