高知論叢108号

高知論叢108号 page 112/136

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110 高知論叢 第108号地域支援ワーカー研修 2013. 9. 12の垣根を超えた共生的な関係づくりに向けて主体的な福祉力を引き出す住民支援力が求められる。それぞれの専門性を生かしつつも,コミュニティソーシャルワー....

110 高知論叢 第108号地域支援ワーカー研修 2013. 9. 12の垣根を超えた共生的な関係づくりに向けて主体的な福祉力を引き出す住民支援力が求められる。それぞれの専門性を生かしつつも,コミュニティソーシャルワーカーとしての総合的な連携力が専門職に求められるとともに,住民の中からも住民相互の支えあいや専門職との連携を図るキーパーソンの発掘,育成を進めることにより,孤立化を防ぎ,生き生きと安心できる地域づくりが拓けるであろう。その際,専門職に対して「あなたがいてくれてありがとう」と要援護者や住民から言われる関係だけでなく,専門職が要援護者や住民から,そのエネルギーや知恵,行動から多くのことを学び,住民に対して「あなたがいてくれてありがとう」と言えるような関係形成が生まれるかどうかが鍵になる。高知県では,高知県社会福祉協議会の主催で,保健師,社会福祉協議会職員やあったかふれあいセンター職員,地域包括支援センター職員などが互いの垣根を越えて,相互に学び合う総合的な地域支援ワーカーとしての研修が始まっている。おわりに貧困研究で著名なP.タウンゼントは,貧困とは,社会の中で相対的に見た権利の剥奪(relative deprivation),当たり前に暮らしをしていく権利が奪われている状態であると述べている(注15)。その時代,その社会にとって当然の生活をする権利が奪われた,社会的に排除された状態が貧困であることを意味する。一方,アマルティア・センは,人間の発達段階に応じた価値ある生き方を達成する条件が欠如していることを貧困と定義づけている(注16)。社会保障と地域福祉は,まさにその権利に関わってくる生きがいの復権,価値ある生き方を達成できるための基礎条件を整える両輪と言える。その人がどういう思いをして生活を営んで来られたのか,どういう生活サイクルを大事にされてきたの