高知論叢108号

高知論叢108号 page 119/136

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金融商品会計プロジェクトフェーズ2にみるIASBの会計基準設定の要点の変化117適用ガイダンスB. 26では,元本CU1,250(年利4.7% の固定金利,残余期間5年)の負債性商品をCU1,000の公正価値で購入した例をあげ,図....

金融商品会計プロジェクトフェーズ2にみるIASBの会計基準設定の要点の変化117適用ガイダンスB. 26では,元本CU1,250(年利4.7% の固定金利,残余期間5年)の負債性商品をCU1,000の公正価値で購入した例をあげ,図表2のように実効金利10% を導いている。? 発生損失モデルへの批判と予想損失モデルの導入図表2で示した実効金利の算定問題として,2009年11月にIASB が公表した公開草案「金融商品:償却原価および減損」(以下,ED2009)の結論の根拠BC11において「そのアプローチはその資産の当初測定において予想損失が含まれるが,事後測定で使われる実効金利の決定には考慮に入れられないので内部で整合していない。このことは,損失事象の発生前の期間において,利息収益(interest revenue)の体系的な(systematic)過大計上になる」という批判をあげている。このことは,IAS 第39号で用いられた発生損失モデルとED2009で提案された予想損失モデルの違いを表している。つまり,IAS 第39号では,当初認識時に回収ができないと見積もられる場合,その見積を考慮することなく実効金利をもとめなければならない。他方,ED2009では,見積回収不能額を考慮した期待キャッシュ・フローによって実効金利が算定されることとなり,そこで算定される実効金利はIAS 第39号で算定される実効金利よりも低くなる。また,減損損失の認識時点についても,IAS 第39号では客観的な証拠があり,信頼性をもって見積ることができるという要件を満たすまで減損損失を認識できないのにたいし,ED2009では回収可能性についての見積の変更(回収可能性の低下)図表2 IAS 第39号における償却原価の計算例年  度期首償却原価?受取利息(b=a×10%)キャッシュ・フロー?期末償却原価(d=a+b-c)20X0 1,000 100 59 1,04120X1 1,041 104 59 1,08620X2 1,086 109 59 1,13620X3 1,136 113 59 1,19020X4 1,190 119 1,250+59 -(出所:IAS 第39号,適用ガイダンス B. 26)