高知論叢108号

高知論叢108号 page 120/136

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118 高知論叢 第108号にともなって減損損失が認識されることとなる。この結果,ED2009の減損損失認識時点は,IAS 第39号よりも早くなり,G20の要請である減損損失の認識が遅すぎるという指摘にこたえるものとなって....

118 高知論叢 第108号にともなって減損損失が認識されることとなる。この結果,ED2009の減損損失認識時点は,IAS 第39号よりも早くなり,G20の要請である減損損失の認識が遅すぎるという指摘にこたえるものとなっている。2.公開草案「金融商品:償却原価および減損」で提案された予想 損失モデルED2009では,減損損失を減損日の金融資産の公正価値を参照して測定するアプローチ,景気循環アプローチ(Through-the-cycle approaches)を検討したうえで,発生損失モデルのかわりに予想損失アプローチにもとづくことを決定した11。ここで示された予想損失モデルでは,償却原価は実効金利法を用いて計算され,その際,用いるキャッシュ・フロー情報は期待値(金額と発生確率をかけることにより求められる)であるとされている12。ED2009による減損損失の計算例として,公開草案の一部を構成するものではないという但し書き付きでスタッフの見解が示されている。図表3は,そのうち固定金利金融商品の例を示している。図表3では,2期末にデフォルト率の見積もりが変更された結果,2期末に減損損失が認識されることになる。このとき算定される減損損失は,デフォルト率変更前の各期の期待キャッシュ・フローを当初の実効金利8.84% で2期末まで割り引いた金額とデフォルト率の見直後の各期の期待キャッシュ・フローを当初の実効金利8.84% で2期末まで割り引いた金額の差額となる。各期における期待キャッシュ・フローは,各期の回収可能と見積もられる率(期待キャッシュ・フロー率)と各期の契約上のキャッシュ・フローを掛け合わせたものとなる。また,償却原価は期首残高に利息収益(期首残高×当初の実効金利(8.84%))を加算し,キャッシュ・フローを減算したものとなる。(減損損失が生じた場合は,減損損失を減額する)このようにED2009では,回収可能性についての見積もりの変更によって減損損失が測定,認識されることになる。