高知論叢108号

高知論叢108号 page 122/136

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120 高知論叢 第108号ポートフォリオで管理される金融資産への適用が実務上困難であるという指摘に対応したものであった。また,ED2009のコメントに国際的に単一の会計基準を作成すべきであるという意見が多く見ら....

120 高知論叢 第108号ポートフォリオで管理される金融資産への適用が実務上困難であるという指摘に対応したものであった。また,ED2009のコメントに国際的に単一の会計基準を作成すべきであるという意見が多く見られたということから,IASB とFASB のコンバージェンスの足がかりとしての意味あいが含められていた。しかし,実務上の負担の大きさや運用上の問題から提案内容について強い支持を得ることができず,新たなモデルの開発を行うこととなった13。その後,新たに開発された3バケット・モデルにたいするFASB の利害関係者からのフィードバックからFASB は代替的な予想損失モデルの検討を始め,IASB はアウトリーチの結果3バケット・モデルを単純化することとした14。その後,IASB とFASB は異なる基準案を公表することとなった15。4.公開草案「金融商品:予想信用損失」IASB は,2013年3月に公開草案「金融商品:予想信用損失」(以下,ED2013)を公表した。ED2013では,適用範囲を償却原価で測定する金融資産,その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産,ローン・コミットメント,金融保証契約のうち損益を通じて公正価値で会計処理するものではないもの,リース債権とし,これにともない,修正が予定されている基準は,国際財務報告基準(IFRS)第1号,第7号,第9号,国際会計基準(IAS)第10号,第18号,第33号,第36号,第39号となっている。ED2013は,実務的な負担を考慮して3バケット・モデルを単純化したものとなっており,そこで認識される予想信用損失は実質的に2つの会計処理によることとなる。? ED2013における予想信用損失の認識と測定ED2013で提案される予想損失の測定方法は,ED2009を基礎としており減損損失は予想信用損失の変動額として認識される。ED2013では,予想信用損失とは信用損失をそれぞれの債務不履行確率(probabilities of default)で加重した加重平均と定義している16。ED2013のIE2,IE3において,自社で組成した