高知論叢108号

高知論叢108号 page 123/136

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金融商品会計プロジェクトフェーズ2にみるIASBの会計基準設定の要点の変化121(originate)単一の貸付金CU1,000,000について12ヶ月間に債務不履行の発生確率を0.5%,債務不履行となった場合帳簿価額の25% が失われ....

金融商品会計プロジェクトフェーズ2にみるIASBの会計基準設定の要点の変化121(originate)単一の貸付金CU1,000,000について12ヶ月間に債務不履行の発生確率を0.5%,債務不履行となった場合帳簿価額の25% が失われると見積もったという例をあげて12ヶ月の予想信用損失の測定について説明をしている。この場合の予想信用損失は,契約上のキャッシュ・フローの失われる部分に債務不履行の発生確率を加重したものとして算定され,0.5%×25%× CU1,000,000=CU1, 250となる。また,この中で述べられる信用損失については,「契約に従って実体に支払われる(due to)すべての元本および利息のキャッシュ・フローと,実体が受け取ると期待しているすべてのキャッシュ・フローとの差額の現在価値17」と定義されている。ED2013がED2009と大きく異なる点は,12ヶ月の予想信用損失(12-monthsexpected credit losses)による予想信用損失の測定,認識を認めている点である。ED2013では,信用損失の測定方法として,全期間の予想信用損失と同額で測定する方法と12ヶ月の予想信用損失と同額で測定する方法をあげている。これは,ED2009で提案したモデルが実務において適用するのが困難である18という指摘に対応するものであり,実務上のコストを考慮した結果である。このため,ED2013で表される予想信用損失は,事象の一部を表すものと事象の全部を表すものが混在することとなった。12ヶ月の予想信用損失による測定は,信用度が当初認識以降に著しく悪化していない,または報告日において信用リスクが低い金融商品に適用され,報告日において信用リスクが著しく増加している場合には全期間の予想信用損失による測定が行われる。この適用について公開草案の一部を構成するものではないという但し書き付きで図表4のようなフローチャートが示されている。ED2013における提案は,図表5に示したようにこれまで3バケットと呼ばれていたものを当初認識以降の信用品質(credit quality)の悪化状況に応じて3つのステージにわけて予想信用損失の認識と利息収益の認識をわけて行うものとなっている。ED2009では実効金利を決定する際に当初の信用損失の期待値を考慮し,予想信用損失の認識と利息収益の認識をわけていなかったが,ED2009にたいするコメントの中でこの方法ではコストがベネフィットを超