高知論叢108号

高知論叢108号 page 46/136

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44 高知論叢 第108号案ともいえよう。そしてまた,これらの摘発は,非常に恣意的であるようにも思われる。事実,障碍者施設における女性入所者の子宮摘出問題は,傷害罪によっても,優生保護法によっても153立件さ....

44 高知論叢 第108号案ともいえよう。そしてまた,これらの摘発は,非常に恣意的であるようにも思われる。事実,障碍者施設における女性入所者の子宮摘出問題は,傷害罪によっても,優生保護法によっても153立件されることはなかった。本件をこのような視点から見れば,そこに含まれていた問題性がなお未解決のままであることが確認できよう。本稿が,かつてのブルーボーイ事件を今取り上げて検討したのはそのためである。153 堤愛子「優生思想が生んだ女性障害者の子宮摘出」優生手術に対する謝罪を求める会編『優生保護法が犯した罪』(現代書館,2003年)40頁以下。なお同書所収の「ある元・施設職員からの手紙」(35頁以下)「どうしても納得できない」(37頁以下)は,元施設職員の経験から,女性入所者に対して,生理時の介助が面倒だからとの理由で,子宮摘出が行われていたことを明かしている。佐々木千津子「補償はいらない,ただ誤ってほしい」(23頁以下)は,「生理をなくすため」として,不妊化するコバルト照射「治療」を強いられたことを明かしている。また,1997年9 月17日付朝日新聞朝刊「本人の同意なしの不妊手術,日本でも実態調べて 厚生省に要望書」の記事中,厚生省母子保健課の話として「子宮摘出は,優生保護法の不妊手術にあたらず,医療上の問題だ」との記載がある。内容の当否はさておき,本件の判旨と両立しうるのであろうか。