高知論叢108号

高知論叢108号 page 78/136

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76 高知論叢 第108号なければならない。指針に従うことと,指針を法律に照らして解釈・再構築することは法理論的には別問題であり,後者に司法権限の後退はない58。そしてその後,終局的な法則や解析が問題に....

76 高知論叢 第108号なければならない。指針に従うことと,指針を法律に照らして解釈・再構築することは法理論的には別問題であり,後者に司法権限の後退はない58。そしてその後,終局的な法則や解析が問題になる場面では,上述のように行政の論理の飛躍に着目しなければならない。すなわち,行政の論証に登場する初期条件なり解析なり,法則なりはどの点についての論証に使われているのか,それら法則・解析で論証できる項目とできていない項目の区分を外側からチェックすることを要する。そして最後に論証に欠落が疑われる部分について,現時点の,あるいは処分時の,十分な知見が収集されているか否かを事実認定しなければならない。これらは実体判断代置ではなく,過程の統制の一つである。58 Hans D Jarass, Bindungswirkung von Verwaltungsvorschriften, Jus 1999, 105(109).なお,もんじゅ差戻後控訴審が安全審査指針にある「ナトリウム火災」の解釈・具体化を 法則と数値の確定前段階で 上述のように展開したことには議論の余地があろうが,「ナトリウム火災」に関してもっぱら行政解釈が優先するという理由はないように思われる。