高知論叢108号

高知論叢108号 page 79/136

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77 論 説限界集落における孤立化防止と共生の居場所づくり・地域づくり田中きよむ・水谷利亮・玉里恵美子・霜田博史  はじめに ~本質としての「福祉」「貧困」と地域福祉~本質としての「福祉」とは何かという....

77 論 説限界集落における孤立化防止と共生の居場所づくり・地域づくり田中きよむ・水谷利亮・玉里恵美子・霜田博史  はじめに ~本質としての「福祉」「貧困」と地域福祉~本質としての「福祉」とは何かということを,1998年にノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センは,その人にとっての「価値ある生き方」(wellbeing:良き存在・良き人生)であると述べている(注1)。それが達成された場合を「機能」と呼び,それを福祉の本質として捉え,基礎的な機能すら実現困難な状態を貧困とみなしている。それゆえ,住民にとって達成可能な価値ある生き方の選択肢,すなわち潜在能力(価値ある生き方の達成を支える社会的条件や制度,地域の支え合いの仕組み)がどれだけあるかによって,その社会,その地域の福祉力が決まる。「こういう生き方,暮らし方をしたい,ああいう人間でありたい,なりたい」という生き方の選択肢,実現条件がどれだけあるのかによって,その社会,地域の福祉力が決まってくる。高知論叢(社会科学)第108号 2013年11月本質としての「福祉」:A .セン価値ある生き方の達成とその条件・仕組み言い方を変えると,本質としての福祉は,人間力の側面と人間関係の側面から成り立つ。人間は成長とともに,様々なことができる能力を高めていく。一つのことが達成できるだけでも,自信が生まcapability(潜在能力)=達成可能な価値ある生き方の選択肢(福祉的自由)well-being(価値ある生き方)の達成=「機能function」