高知論叢108号

高知論叢108号 page 81/136

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限界集落における孤立化防止と共生の居場所づくり・地域づくり79豊かな暮らしが実現されてゆく。そのような複眼思考による地域福祉活動のベースになるのは,同じ住民としての感情で結ばれた共生的なつながりが非常に....

限界集落における孤立化防止と共生の居場所づくり・地域づくり79豊かな暮らしが実現されてゆく。そのような複眼思考による地域福祉活動のベースになるのは,同じ住民としての感情で結ばれた共生的なつながりが非常に重要になる。同じ住民として,同じ地域に住む者として,その地域で仕事や活動をする者として共生的なつながりがベースになければ,利害で結ばれたアソシエーションの関係性だけでは本当に豊かな地域社会の暮らしは実現できない。高知県では,少子高齢化が全国的に見ても進んでおり,2011年度において,高齢化率は29.0%で全国3 位,合計特殊出生率は1.39で全国47都道府県中33位という状況にある。とりわけ,人口の自然減(死亡者数が出生児数を上回る)と社会減(転出者数が転入者数を上回る)が重なる状況の下で,人口は80万人を割り(76万4,456人で2010年度45位),15歳未満の年少人口割合は12.0%で全国44位(2011年度),15~64歳の生産年齢人口割合は58.9%で全国47位(2011年度)という状況にある(注2)。高知県内各市町村・地域の人口減少や少子・高齢化が進むなかで,集落代表者は,集落の将来(10年後)は「衰退している」(63.8%),「消滅している恐れがある」(6.0%),「消滅していると思う」(5.3%)と考える一方で,集落の活性化のためには「住民のやる気,意欲」(43.8%)が必要であり,その効果的な方策として,「近隣の集落と連携する取り組み」(35.3%)が求められている(注3)。世帯アンケート調査によれば,「日々の暮らしの中で困っていることや不安に思っていること」としては,「食料品や日用品の商店が近くにない」(36.5%),「野生鳥獣による被害」(32.6%),「病院や診療所がない,遠い」(32.4%),「車や公共交通などの移動手段がない,不便である」(17.7%)などとなっている(注4)。過疎化・高齢化が進む高知県にあって,そのような生活課題に対応して,各市町村,各地域の住民が解決策や地域づくりの目標,方法を明確にする地域福祉計画(社会福祉法に位置づけられ市町村が策定責任を担う),地域福祉活動計画(主として市町村社会福祉協議会が策定責任を担う)をほぼすべての市町村で策定するとともに,高齢者や障害者,児童などを広く対象として捉え,集いや交流,訪問,相談,生活支援などの諸機能をもつ「あったかふれあいセンター」が整備されてきた。さらに,中山間地域が抱える生活課題を解決してゆ