高知論叢108号

高知論叢108号 page 82/136

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80 高知論叢 第108号くために,高齢者の見守り,特産品や農産物の生産・販売,移動支援のための有償運送などのアクションを起こしてゆく拠点として,「集落活動センター」を県内各地に整備してゆくことがめざされて....

80 高知論叢 第108号くために,高齢者の見守り,特産品や農産物の生産・販売,移動支援のための有償運送などのアクションを起こしてゆく拠点として,「集落活動センター」を県内各地に整備してゆくことがめざされている(注5)。それらの取り組みは「高知型福祉」と称して「日本一の健康長寿県づくり」に位置づけられるとともに,「産業振興計画」との連携を図りながら推進されている。住民一人ひとりに対する個別支援と,住みよい地域づくりを進めてゆく基盤には,住民どうしの家族のようなつながりと絆があり,それが原動力となっている(注6)。高知県内各市町村,各地域でも,地域福祉計画や地域福祉活動計画の策定が進められているが,住民が自ら考え,話し合い,策定,実行,点検,改善を図るプロセスを学び,地域課題に即して解決を図る力を身につけ始めることで,まさに「住民による住民のための地域づくり」は現実のものとなる(注7)。その意味では,地域の固有価値を生かしながら課題を解決してゆくうえで,今後,高知県内各地において,あったかふれあいセンターや集落活動センター等を拠点にして,高齢者,障害者,子どもの共生を図りながら,地域づくりを進める方向も選択肢の一つとなるであろう(注8)。本稿では,高知県内外における2011~2013年度の限界集落を中心とする地域調査をふまえ,①地域の孤立化・孤独死防止に向けた個別支援の方向,②共生の拠点づくりを軸とする孤立化防止や生活課題解決の方向,③地域福祉(活動)計画を活用した地域づくりの方向を明らかにする。いわば,「点」としての個別支援,「円」のように集まることで生活課題を解決する共生の拠点づくり,そのような拠点だけでは解決し得ない地域課題に対応して,小地域単位で「面」として住民が主体的に取り組む地域づくりの方向を高知県内外の先進的,積極的取り組みをふまえて具体的に明らかにしたい(注9)。Ⅰ 住民一人ひとりに寄り添った個別支援   ~見守り,孤立・孤独死防止,社会的包摂,ネットワークづくり~高知県では,南海地震が非常に心配されている。色々な防災対策や支援計画などが立てられているが,日頃の地域の関係性がないと,いくら防災対策と言っても,どこの誰かも,どういう生活をしている人かも知らない所に住民が