高知論叢108号

高知論叢108号 page 97/136

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限界集落における孤立化防止と共生の居場所づくり・地域づくり95る92歳の最高齢ボランティアもいる。「どこに相談したらいいかわからない」という状況があったが,鈴木代表によれば,「ここに来れば何とかなる」とい....

限界集落における孤立化防止と共生の居場所づくり・地域づくり95る92歳の最高齢ボランティアもいる。「どこに相談したらいいかわからない」という状況があったが,鈴木代表によれば,「ここに来れば何とかなる」という拠点となっていったという。ミニデイとは別に 「ダイヤモンドクラブ」も32カ所設けられているが,恒常的なものではなく,必ずテーマ,ドラマがあり,必要に応じて随時開催されるという。一人暮らし宅や介護者の家で開催されることもあるという。すなわち,介護等で困った人を中心に据え,そこで課題解決法を皆で考える場が「ダイヤモンドクラブ」である。専門職間のネットワーク会議(「野川セブン」)も13年目であり,地区社協,民生委員,地域包括支援センター,サロン,お元気会等,7グループから構成され,月1回開催されている。ミニデイ反省会では,気になる人の状況確認がおこなわれる。ボランティアに活動動機をうかがうと,「他人事じゃない,自分のために」という答えが返ってきた。実際,ボランティアから利用者に変わる人もおり,自分がそうなった時に安心できる関係,環境づくりがおこなわれる互酬性が働いていると言える。そのような共生ケアが各地域で展開される一方で,2011年6月に成立した介護保険法改正の影響もあって,地域包括ケアが全国的に推進されている。サービスの縦割りをなくし,高齢者,障害者,児童それぞれに対して専門職の壁を越え,保健,医療,福祉,生活支援サービスなど,住民一人ひとりに対して包括的な支援を進めるという方向が打ち出されている。しかし,専門的なケアに関しては専門職同士の壁をなくすと同時に,地域で暮らす住民同士の壁もなくす共生の関係づくりが孤立化を防ぐことになる。それは,あらゆる差別をなくし,障害の有無,要介護度,年齢の違い,被災地・非被災地を越えたつながりが,住民ベースで広がるかどうかにかかっている。医療 個別の要援護度,福祉 障害種別,ニーズ保健 に応じた「包括ケア」生活支援高齢者  障害者   児童  その他の住民   同じ家族のように垣根を越えた交流,支え合いとしての「共生ケア」(要援護度,障害の有無・種別,年齢の違い, 被災・非被災を超えたつながり)