109号

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14 高知論叢 第109号審における請求人側の主張を,弁護人の再審請求書を基に確認しておきたい。まず,再審請求書では,「原判決の証拠構造」との題目で,原確定判決を整理して確認しているが,これによると,弁護側....

14 高知論叢 第109号審における請求人側の主張を,弁護人の再審請求書を基に確認しておきたい。まず,再審請求書では,「原判決の証拠構造」との題目で,原確定判決を整理して確認しているが,これによると,弁護側も原確定判決の証拠構造は,検察官に対する自白を柱として,この自白を,スリップ痕を中心とした事故現場に残された他の証拠で支えていると分析しているように思われる。すなわち,自白を直接証拠とし,それを支える間接事実として,現場の見通し状況,スリップ痕,路面擦過痕,請求人車両の損傷状態,被害者車両の損傷状態,破片の散乱状況,事故当時における請求人以外の者の存在,といった間接事実・間接証拠があり,自白については任意性を認め,事故後の実況見分等の捜査の状況という事実によって,それら間接証拠の採取手続の適正性を担保させているという構造である37。ただし,再審請求書では,原確定判決の事実認定について,請求人車両が路上に進出しようとする際の白バイの位置を認定していないこと38,路面擦過痕が「削ったような」ものであるとの認定は「判決の想像」であること39,スリップ痕の由来について,そもそも裁判官の認定は写真によるものであること40,スリップ痕先頭が濃くなっているのは現場に流出した液体によるとの判断は証拠のない推測であること41,スリップ痕が前輪のみなのは車の前後の軸重の差,ブレーキバランスによれば不自然でないとの判断も裁判官の推測に過ぎないこと42,白バイがブレーキを掛けていない理由についての認定を欠いていること43等を批判し,特に請求人車両が路上進出時に注意義務が課されることになる被害車両の位置についての認定を欠くことは,過失の有無を決定づける重要な点であることを指摘している44。さて,再審請求で事実誤認として指摘されているのは,原確定判決の「被害37 同前2 頁以下参照。38 同前2 頁。39 同前。40 同前4頁。41 同前。42 同前。43 同前5 頁。44 同前5 頁以下参照。