109号

109号 page 17/104

電子ブックを開く

このページは 109号 の電子ブックに掲載されている17ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
いわゆる「高知白バイ事件」の再審請求について15者運転車両が,被告人運転車両の前面を横切ろうとする直前において,被告人運転車両の前面右側が被害者運転車両前部左側と衝突し,被害者運転車両は右に転倒してその....

いわゆる「高知白バイ事件」の再審請求について15者運転車両が,被告人運転車両の前面を横切ろうとする直前において,被告人運転車両の前面右側が被害者運転車両前部左側と衝突し,被害者運転車両は右に転倒してそのまま被告人運転車両との衝突により言わばかみ合った状態となり,被告人運転車両の進行方向とほぼ平行に移動したものと認められる」との認定に対してであり,そうであれば,「バスの右側面に擦過痕や二次衝突の痕跡が印象されていなければならない……しかし,上記印象は一切ない」と批判45する。その上で,原確定判決について以下の諸点を批判する46。すなわち,①検面調書に証拠能力がないこと②実況見分調書は不当であること③証拠写真は変造されていること④スリップ痕⑤ M 算定書の信憑性⑥ I 証言の信憑性である。本件において特徴的なのは,ハイテク技術を駆使して証拠関係を偽造したとX側から主張されている点であり,当事者の一方からその主張がなされた場合には,裁判所はその検証等をすべき「特別の配慮義務」が課されているのに,その義務を実行していないと主張している47。具体的な偽装行為として指摘されているのは,ブレーキ痕の偽造であり(ⅰ)「現場警察官は,実況見分後,ネガフィルムを現像し撮影した画像を印画紙に焼き付けた後,それらの写真を,画像スキャナー等を用いてコンピューターに取り込み,写真加工ソフトを用いてブレーキ痕を書き加えるなどのデジタル加工を行った」(ⅱ)「バスの車体下に,揮発性のある液体を用いてバスの前輪があった付近の路面に,バスの前輪ブレーキ痕と錯覚させるために,刷毛あるいはスポンジ等の吸水性のある道具を用いて痕跡を描き,それをバスのブレーキ痕であるとして撮影」のどちらかの方法で証拠として提出したとし,あるいは仮にそうではないとしても,現場にたまたま存在したスリップ痕様のキズの「誤用」によるものと批判する48。以上の主張について,今回の再審請求において新たに提出された証拠は,石45 同前7 頁以下。46 同前8 頁以下参照。47 同前11頁以下参照。48 同前13頁以下参照。