109号

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20 高知論叢 第109号べての市町村で策定するとともに,高齢者や障害者,児童などを広く対象として捉え,集いや交流,訪問,相談,生活支援などの諸多機能をもつ「あったかふれあいセンター」が整備されてきた。さら....

20 高知論叢 第109号べての市町村で策定するとともに,高齢者や障害者,児童などを広く対象として捉え,集いや交流,訪問,相談,生活支援などの諸多機能をもつ「あったかふれあいセンター」が整備されてきた。さらに,中山間地域が抱える生活課題を解決してゆくために,住民の地域活動活動拠点として,「集落活動センター」を県内各地に整備してゆくことがめざされている(注4)。集落活動センターを推進する高知県中山間地域対策課によれば,集落活動センターには,生活支援サービス(食料品,ガソリン等の店舗経営,移動販売,宅配サービス,移動支援),安心安全サポート(高齢者等の見守り活動,あったかふれあいセンターとの連携),健康づくり,防災活動,鳥獣被害対策,観光交流・定住サポート,農林水産物の生産・販売,特産品づくり・販売,エネルギー資源の活用などの諸機能が期待されているが,どのような機能を持たせるかは,それを運営する各地域の住民組織等の主体的判断に委ねられている(3年間限度に1カ所3千万円,人件費一人百万円の補助)。それらの取り組みは「高知型福祉」と称して「日本一の健康長寿県づくり」構想に位置づけられる(あったかふれあいセンター)とともに,「産業振興計画」との連携を図りながら(集落活動センター)推進されている。本稿では,高知県内で先行して運営されている各地区の集落活動センターへの聞き取り調査をふまえ,高齢・過疎化が進む中山間地域における集落活動センターを基軸とする地域づくりの現状と課題,方向を明らかにしたい。とりわけ,高知県内で先進的な取り組みを進めている各市町村の地区集落活動センターの立ち上げの背景・経緯,活動の現状や取り組み内容,住民の地域づくりへの主体的な参画プロセスやその要因などをふまえ,今後の集落活動センターなどの地域拠点を生かした地域づくりの可能性を探りたい。いわゆる「増田レポート」と総称される一連の増田寛也らの研究においては(注5),2010年~2040年の間に20~39歳の女性人口が5 割以下に減少する896自治体を「消滅可能性都市」,とくに2040年時点で人口が1 万人を切る523自治体は消滅可能性が高いと結論づけている。しかし,これらの研究に対しては,田園回帰の動向や政策動向との関係,導出論拠をめぐる批判が寄せられてい