109号

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集落活動センターを拠点とする高知型地域づくり39年度も10戸程度回収している)。まとめにかえて以上の通り,5市町村の集落活動センターの取り組みをみてきたが,いずれも,地域の課題解決や活性化をミッションとす....

集落活動センターを拠点とする高知型地域づくり39年度も10戸程度回収している)。まとめにかえて以上の通り,5市町村の集落活動センターの取り組みをみてきたが,いずれも,地域の課題解決や活性化をミッションとする住民自治組織活動が前提として根付いていたという住民の主体的な地域活動の下地があり,それを牽引するリーダーの存在があったということである。また,リーダーには,将来に向けた地域の持続性への不安や,日用生活品店やガソリンスタンドがなくなる不安など,強い危機感と地域への愛着心が見られる。そして,集落活動センターの発足と前後して,リーダーを支える「地域おこし協力隊」や「集落支援員」,住民スタッフなどの人材育成がおこなわれている。そして,地域の課題を住民が自分たちの問題として受け止め,解決方法を考えるワークショップが地道におこなわれている。県下の地域福祉(活動)計画の策定・実行・評価・改善のプロセスと同様の民主的な手続きが,住民の主体的な地域づくりへと意識改革・転換を促す重要な機会となっている(注9)。しかも,それが狭義の福祉活動にとどまらず,仕事おこしや地域づくりにつながることによって,より広範な住民の関心と参加を引きつけ,前向きな変化をもたらしている。補助期間3年後の自立にむけたテイクオフに直ちに向かわないとしても,他の補助事業を活用しながら少しずつ自立型のコミュニティビジネス,さらには地域づくりへ向かう可能性がうかがえる。中山間地における点としての小さな拠点づくりが相互につながりながら線となり,さらに面としての動きに展開する中で,拠点づくりは,それを軸とする地域づくりへの質的な転換を遂げるであろう(注10)。その際に重要なポイントは,高齢・過疎化という中山間地の厳しい状況に対して,高齢者を支えられ手から地域の支え手に転換する逆転の発想であり,高知県下の集落活動センターのモデルと目される広島県安芸高田市川根地区の取り組みをリードする辻駒 健二氏(川根振興協議会会長)が強調するところである(注11)。