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42 高知論叢 第109号ペーパー「ダイナミックなリスク管理の会計:マクロ・ヘッジに対するポートフォリオ再評価アプローチ」を取り上げ,その中で提案されている新しいアプローチであるポートフォリオ再評価アプロー....

42 高知論叢 第109号ペーパー「ダイナミックなリスク管理の会計:マクロ・ヘッジに対するポートフォリオ再評価アプローチ」を取り上げ,その中で提案されている新しいアプローチであるポートフォリオ再評価アプローチと現在の会計基準で認められているヘッジ会計との違いを明らかにすることで,IASB がディスカッション・ペーパーを公表した意図や問題点について考察したものである。1. IASB ディスカッション・ペーパー「ダイナミックなリスク管理の会計: マクロ・ヘッジに対するポートフォリオ再評価アプローチ」の公表の経緯と目的IASB は,2014年4 月,ディスカッション・ペーパー「ダイナミックなリスク管理の会計:マクロ・ヘッジに対するポートフォリオ再評価アプローチ」(Accounting for Dynamic Risk Management: a Portfolio RevaluationApproach to Macro Hedging)(以下,DP)を公表した。DP の議論は,当初,2008年の金融危機対応として取り組まれた金融商品会計基準改訂プロジェクト(国際会計基準(以下,IAS)第39号を国際財務報告基準(以下,IFRS)第9 号におきかえるプロジェクト)のフェーズ3「ヘッジ会計」の中で行われていたものであり,銀行におけるリスク管理,とくにオープン・ポートフォリオを基礎としダイナミックに管理されている場合についてとりあげたものであった。ここでの論点は,銀行のダイナミックなリスク管理(マクロ・ヘッジ)に対しIAS 第39号のヘッジ会計を適用することが困難であるということやIAS 第39号のヘッジ会計の適用が金利リスクに限定されていることにあった1。2012年5 月のIASB 会議において,IFRS 第9 号の完成を急ぐ必要があるという理由からこの問題は,IAS 第39号の改訂プロジェクトから切り離され別プロジェクトとされた2。この切り離されたプロジェクトは,将来的にIAS 第39号パラグラフAG114からAG132の規定をおきかえるものとなるとされている3。今回公表されたDP は,実体のダイナミックなリスク管理活動の会計のために可能な(possible)アプローチであるポートフォリオ再評価アプローチ(the