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ダイナミックなリスク管理の会計45このようにIAS 第39号では,純額によるヘッジはできず,ヘッジ対象に対して1 つまたは複数のヘッジ手段を指定する必要がある。ヘッジの有効性を評価した後ヘッジの有効性が高い場合....

ダイナミックなリスク管理の会計45このようにIAS 第39号では,純額によるヘッジはできず,ヘッジ対象に対して1 つまたは複数のヘッジ手段を指定する必要がある。ヘッジの有効性を評価した後ヘッジの有効性が高い場合は,ヘッジ対象とヘッジ手段の公正価値変動は利得または損失として損益において認識されることになる。この規定についてDP では,ダイナミックなリスク管理のいくつかの側面に対応しているとしつつも,金利リスクに限定されていること,実務上の適用が困難なこと,リスク管理活動に関する有用な情報を財務諸表で提供するものではないという指摘がなされている15。? ポートフォリオ再評価アプローチ(PRA)の導入① PRA の特徴DP では,PRA の目的を「財務諸表の利用者に,利益の源泉(profit source)と対応するリスク(corresponding risk)から実体の業績を理解できるようにすることによって,財務諸表における実体のダイナミックなリスク管理活動の誠実な表現(faithful representation)を提供することである16」としている。PRA は,「管理されるネット・オープン・リスク・ポジションをダイナミックに管理されているリスクの変動のみ再評価をする17」というように,管理されるポートフォリオの変動した部分のみ再評価を行う。その一方でヘッジとして用いられたデリバティブは,IAS 第39号とIFRS 第9 号に従い公正価値で測定される18。管理されるポートフォリオの再評価から生じた利得または損失とヘッジに用いられたデリバティブの公正価値との差額は損益において認識される19。PRA の特徴は,ポートフォリオの管理されているエクスポージャーの再測定に公正価値を用いないことから,完全な公正価値モデル(full fair valuemodel)ではないことや20,ヘッジに用いられたデリバティブはヘッジ指定をする必要がないということにある21。さらにDP では,PRA がダイナミックなリスク管理活動の誠実な表現をもたらすために,表示および開示の代替案が提案されている。