109号

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52 高知論叢 第109号が対応するものとする。ただし,A3についてはヘッジしないことを決定した。設例2 において,① PRA をすべての管理されるポートフォリオに適用する場合では,A1,A2,A3,Y1,Y2はすべてPRA を....

52 高知論叢 第109号が対応するものとする。ただし,A3についてはヘッジしないことを決定した。設例2 において,① PRA をすべての管理されるポートフォリオに適用する場合では,A1,A2,A3,Y1,Y2はすべてPRA を用いて会計処理することとなり,②ヘッジを通じてリスク軽減を行った状況だけに適用する場合では,A1,A2にPRA を適用する(サブポートフォリオ・アプローチ)か,ポートフォリオ全体の66.6% に適用する(比例アプローチ)のいずれかとなる。結果として,①ではすべてのポートフォリオが再評価され,②ではA3または全体の33.3% は再評価されないこととなる。PRA の適用範囲の問題は,財務諸表の利用者,作成者,IASB という3 者の考え方の違いが反映されている。財務諸表の利用者にとっては,必要とする情報の違いから①または②の選択が行われることとなる。その一方で,作成者としては損益のボラティリティを選好するかどうかによって①または②の選択が行われると考えられる。そして,会計基準の作成者であるIASB は,PRAを適用している企業と適用していない企業の比較可能性の問題やダイナミックなリスク管理を行っているかどうかにより経済的なポジションと異なった表現がなされてしまう可能性のある①と作成者の判断により経済的なポジションをアーティフィシャルに表現されてしまう可能性がある②の選択を行うこととなる。このように3 者の考え方は異なるものの,問題の焦点は誠実な表現と損益のボラティリティにあるといえる。? 表示と開示① 表示DP では,PRA が適用される管理されるポートフォリオのエクスポージャーは,IFRS 第9 号に従って財政状態計算書に認識されるとし,PRA により再評価された差額(再評価調整)の表示については3 つの代案を示している44。3つの代案は,科目ごとのグロスアップ(line-by-line gross up),調整の総計(aggregate adjustment),単一の純額科目(single net line item)というものであり,総額表示とするか純額表示とするかの違いがある。