109号

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57 判例研究ドイツの銃規制(武器法)に関する基本権保護義務と憲法異議,そして「国家の暴力独占」岡  田  健 一 郎  はじめにドイツでは2009年,少年による連続射殺事件が発生した。翌2010年,事件....

57 判例研究ドイツの銃規制(武器法)に関する基本権保護義務と憲法異議,そして「国家の暴力独占」岡  田  健 一 郎  はじめにドイツでは2009年,少年による連続射殺事件が発生した。翌2010年,事件の犠牲者の遺族らはドイツの武器法(Waff engesetz)による銃規制は不十分であり,生命・身体という基本権の保護義務に反するという理由でドイツ連邦憲法裁判所(連憲裁)へ憲法異議を申し立てた。この憲法異議は2013年に不受理という結果に終わったものの,いわゆる「国家の暴力独占」(das staatlicheGewaltmonopol)論の観点から見て興味深い論点を含んでいる。本稿は主としてこの憲法異議に関する紹介・検討を行うものである。1.事案の概要2013年1 月23日連邦憲法裁判所第2 法廷第2 部会決定連邦憲法裁判所公式判例集未登載2 BvR 1645/10, BayVBl 2013, 334-335.2009年5 月11日,ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州ヴィンネンデン(Winnenden)で17歳の少年が父親の銃を使い,学校等で生徒や教師ら15名を射殺し,最終的に自殺するという事件(以下,ヴィンネンデン事件)が起こっ高知論叢(社会科学)第109号 2014年10月