109号

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ドイツの銃規制(武器法)に関する基本権保護義務と憲法異議,そして「国家の暴力独占」59れた武器法9である。ただし,本件不受理決定では2012年11月30日に改正10された時点の武器法が対象となっている。(1)申立の....

ドイツの銃規制(武器法)に関する基本権保護義務と憲法異議,そして「国家の暴力独占」59れた武器法9である。ただし,本件不受理決定では2012年11月30日に改正10された時点の武器法が対象となっている。(1)申立の適法性11申立人には就学義務のある二人の子がおり,また,申立人自身も学校で作家として自らの本をしばしば朗読する機会がある。したがって申立人とその子らは,学校でスポーツ用銃器によりヴィンネンデンのような事件の被害者となる可能性があるといえる。また,武器法の直接的な宛名人は銃を使用する射撃競技者等であるものの,武器法の目的は「公共の安全と秩序の重要性を考慮して,武器と実包類12の取扱いを規律すること」( 1 条1 項)であることから見て,武器法は全ての者に直接的な影響を有している。以上のことから,申立人とその子どもは生命への権利および身体を害されない権利(以下,生命・身体の権利)(基本法2 条2 項1 文)に対し,現在,直接的なリスクを負っており,これは事件発生後では回復不可能な被害をもたらす。したがってこの憲法異議は原則的な重要性を有している。(2)申立の理由13現在の武器法は人間の殺傷能力がある銃器の所持・使用を認めているが,最終的には,高度な危険性を伴う職業の自衛用や,狩猟用等を除き禁じられるべきである。少なくとも,半自動式銃器および殺傷能力のあるスポーツ用銃器は禁止されねばならない。立法者は生命・身体の権利という基本権に対する保護義務を負っている。保護義務には一定の形成余地が認められるが,上述のごとく現在の武器法による銃規制はあまりに不十分である。立法者には法令の修正・改善義務9 BGBl. 2002 I 3970, 4592; 2003 I 1957.10 BGBl. 2012 II 1381.11 Grafe 2010:2(申立書面に頁番号は記載されていないが,紹介の便宜上,頁番号を付すことにする).12 弾薬等のこと。詳細は武器法附則1 ・第1 章3 を参照。13 Grafe 2010:3-10.