109号

109号 page 62/104

電子ブックを開く

このページは 109号 の電子ブックに掲載されている62ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
60 高知論叢 第109号(Korrektur-oder Nachbesserungspfl icht)があるが,長きにわたり立法者はこの義務を怠ってきた。以上の理由から,現行の武器法は保護義務の過少保護禁止(Untermasverbot)原則に反している....

60 高知論叢 第109号(Korrektur-oder Nachbesserungspfl icht)があるが,長きにわたり立法者はこの義務を怠ってきた。以上の理由から,現行の武器法は保護義務の過少保護禁止(Untermasverbot)原則に反している。3.判 旨憲法異議は受理されない。連邦憲法裁判所法93a 条2 項が規定する受理要件は満たされていない。(1)基本権保護義務についての一般論基本法2 条2 項1 文が,国家によって生命・身体の権利という防御権を市民に保障するだけでなく,国家の基本権保護義務も規定していることは連憲裁の判例でも示されてきた(化学兵器貯蔵決定14,中継倉庫建築許可決定15,第一次堕胎判決16,シュライヤー決定17,カルカー決定18,ミュルハイム・ケルリッヒ決定19,航空機騒音決定20)。そのような保護義務は銃の濫用の危険に関しても存在する(武器法決定21)。他方,立法者には保護義務の実現にあたって広範な判断・評価・形成余地(Einschazungs-, Wertungs- und Gestaltungsspielraum)が認められる(化学兵器貯蔵決定22)。したがって,連憲裁が公権力の保護義務違反を認定できるのは,立法者が全く措置をとらないか,とった措置が保護目的に完全に適合していない,もしくは全く不十分である場合に限られる(航空機騒音決定23,中継倉庫14 BVerfGE 77, 170 <214>.15 BVerfGE 77, 381 <402 f.>.16 BVerfGE 39, 1 <42>(ド憲判2003:67〔嶋崎健太郎〕).17 BVerfGE 46, 160 <164>(ド憲判2003:31〔青柳幸一〕).18 BVerfGE 49, 89 <141 f.>(ド憲判2003:369〔高田敏〕).19 BVerfGE 53, 30 <57>(ド憲判2003:73〔笹田栄司〕).20 BVerfGE 56, 54 <73>(ド憲判2003:78〔松本和彦〕).21 BVerfGK 1, 95 <98>. なお,本決定については後述する。22 BVerfGE 77, 170 <214>.23 BVerfGE 56, 54 <80 f.>(ド憲判2003:78〔松本和彦〕).