109号

109号 page 63/104

電子ブックを開く

このページは 109号 の電子ブックに掲載されている63ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
ドイツの銃規制(武器法)に関する基本権保護義務と憲法異議,そして「国家の暴力独占」61建築許可決定24,道路交通騒音決定25)。(2)本件への当てはめこのような基準からすると,武器法の諸規定が憲法に反すると....

ドイツの銃規制(武器法)に関する基本権保護義務と憲法異議,そして「国家の暴力独占」61建築許可決定24,道路交通騒音決定25)。(2)本件への当てはめこのような基準からすると,武器法の諸規定が憲法に反するとはいえない。武器法の保護構想(Schutzkonzept)の中心は銃器の許可制にあり,許可要件としては年齢制限,人格的適性,必要性等が規定されていて(武器法4条以下),必要性の証明の際には,公共の安全および秩序の重要性と,銃を取り扱う人格的もしくは経済的利益が慎重に検討される( 8 条)。そして,スポーツ用銃器に関してはこれらの要件が詳細に具体化されているし(14条2 号から4 号まで),本件で問題とされている,スポーツ射撃者による大口径の銃器の取得・所持には,21歳以上という年齢要件が課されている(14条1 項)。また,許可制に関する違反は刑罰が科せられる(52条)。立法者は,無資格者が銃器を獲得することを防ぐために,無資格者への銃器および実包類の譲渡禁止(刑罰を伴う)を定め(34条),また,銃器および実包類の確実性の高い保管を命じており(36条),保管義務に関する違反は秩序違反(Ordnungswidrigkeiten)や犯罪として制裁が科される(53条1 項19号,52a 条)。武器法の中のいくつかの規定は,立法者がエアフルト事件(後述)やヴィンネンデン事件への対応として導入ないし強化したものである。本件においては,公権力が銃器から生じる危険への予防措置を全くとらないか,とった措置が保護目的に完全に適合していない,もしくは全く不十分である,とはいえない。保護義務の実現に際して立法者に認められた広範な判断,評価,形成余地からすると,異議申立人には,現行からさらに進んだ措置,もしくはスポーツ用の銃器の禁止のような特定の措置をとることへの請求権は認められない。24 BVerfGE 77, 381 <405>.25 BVerfGE 79, 174 <202>.