109号

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68 高知論叢 第109号る。そして必要性の審査につき,連憲裁は銃器に関する「承認されるべき,人格的もしくは経済的利益(anzuerkennende, personliche oder wirtschaftlicheInteressen)」という表現を使い,それら....

68 高知論叢 第109号る。そして必要性の審査につき,連憲裁は銃器に関する「承認されるべき,人格的もしくは経済的利益(anzuerkennende, personliche oder wirtschaftlicheInteressen)」という表現を使い,それらと公共の安全・秩序が武器法において慎重に検討される,としている。ここでいう「人格的もしくは経済的利益」とは,狩猟やスポーツ目的で銃器を所持・使用したり,営業目的で銃器を取引すること等が念頭に置かれているものと考えられる。ただし連憲裁が,銃器の全面禁止のような厳格な銃規制が過剰侵害禁止(Ubermasverbot)原則に反するという理由で憲法違反になりうると考えているのかは判然としない。連憲裁は続けて,異議申立人が特に問題とするスポーツ射撃者による大口径の銃器の取得・所持には,一般的な武器所持許可証の要件たる18歳以上よりも厳格な21歳以上という年齢要件が課され,違反者には刑罰による制裁が準備されていること,無資格者が銃器を獲得することを防ぐため,無資格者への銃器および実包類の譲渡禁止や,銃器および実包類の確実性の高い保管が命じられていること等を挙げ,それらの中のいくつかの規定は,立法者がエアフルト事件やヴィンネンデン事件への対応として導入ないし強化したものであると述べる。したがって,本件で公権力は保護義務のために全く措置をとっていないわけではないし,とった措置が保護目的に完全に適合していない,もしくは全く不十分でもない,とする。また,立法者には広範な判断・評価・判断余地が認められており,異議申立人には,現行から銃規制に関してさらに進んだ措置,もしくはスポーツ用銃器の禁止のような特定の措置をとることへの請求権は認められないとして,本件憲法異議に対し不受理という決定を下したのである。ここで挙げられた,エアフルト事件およびヴィンネンデン事件に対応した武器法の改正は以下の通りである。まず2002年のエアフルト事件(19歳の青年がスポーツ用の半自動式拳銃と散弾銃を使って16名を殺害した後に自殺)の発生後,同年および翌年にかけて武器法の改正が行われた(BGBl. 2012 I 3970, 4592; 2013 I 1957)。その主な内容は,スポーツ用銃器の取得・所持が許される最低年齢を原則として18歳から21歳へ