109号

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ドイツの銃規制(武器法)に関する基本権保護義務と憲法異議,そして「国家の暴力独占」69引き上げる,24歳以下の者が銃器の取得・所持を行う際に医学的・心理学的な検査を義務づける,銃器の保管義務の厳格化,そし....

ドイツの銃規制(武器法)に関する基本権保護義務と憲法異議,そして「国家の暴力独占」69引き上げる,24歳以下の者が銃器の取得・所持を行う際に医学的・心理学的な検査を義務づける,銃器の保管義務の厳格化,そして,射撃スポーツ連盟結成の要件としての射撃スポーツ規則(Schiessportordnung)の制定(後述),等である48。なお,射撃スポーツ規則に関しては射撃団体から憲法異議が申立てられている(後述)。続いて2009年のヴィンネンデン事件(17歳の少年が,父親がスポーツ用に所持していた半自動式拳銃を使って15名を殺害した後に自殺)の発生後には,銃器の取得・所持の必要性審査の厳格化,大口径銃による射撃を行える年齢を14歳から18歳に引き上げ,銃器と実包類の保管義務の強化,全国的な銃登録簿の導入,等の改正が行われた(BGBl. I 2062)49。異議申立人はこれらの改正も銃濫用の防止には不十分であると主張しているものの50,連憲裁はこれらの措置がとられていることをもって,武器法の諸条項が立法不作為という保護義務違反(過少保護禁止)の要件を満たさない,と判断したものと思われる。また,異議申立人は,立法者には既存の法の修正・改善義務(Korrektur- oder Nachbesserungspfl icht)51があると主張している。連憲裁は特にこの点には触れていないものの,2002年や2009年等の武器法改正を以て,一応立法者が法の改善義務を果たしていると判断した可能性もある52。48 Bundesministrium des Innern(ドイツ連邦内務省)(http://www.bmi.bund.de/Shared-Docs/Downloads/DE/Themen/Sicherheit/Waffenrecht/Aenderungen2002.pdf?__blob=publicationFile:2014年9 月16日閲覧).49 Soschinka/Heller 2009.50 小口径銃でも大量殺人は可能である,エアフルト事件の実行犯は18歳以上であったし,また,自ら武器法を遵守して銃を保管していた,等(Grafe 2010:7-8)。51 参照,合原1999,合原2004。52 なお,2009年改正においては銃器と実包類の保管状況の調査のため, 当局が一定の条件下で所有者の住居等に立ち入る権限が新たに認められた(武器法36条3 項)。このことが,基本法で保障された住居の不可侵(基本法13条)および財産権(14条)を侵害するとして,2010年7 月に「合法的銃器所持者支援協会」(Fordervereinigung legalerWaff enbesitz)が支援して,7 人の射撃者が憲法異議を申立てた(事件番号は2 BvR1644110)。これに対し連憲裁は,2012年1 月31日,特に理由を付記することなく不受理決定を下している。異議申立の経緯等については,以下の銃愛好者向けのサイト(http://www.legalwaff en.de/verfassungsbeschwerde.html:2014年9 月15日閲覧)や,2010年7月23日付「南ドイツ新聞」(Suddeutsche Zeitung)のサイト(http://www.sueddeutsche.de/politik/nach-amoklauf-in-winnenden-schuetzen-klagen-gegen-waff engesetz-1.978992: