109号

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72 高知論叢 第109号ければならなくなった。つまり,その分だけ連盟を結成するハードルが高くなったわけである。これに対し連盟の一つが,本改正は基本法9 条1 項(結社の自由)や80条1 項(行政権に対する法規命令....

72 高知論叢 第109号ければならなくなった。つまり,その分だけ連盟を結成するハードルが高くなったわけである。これに対し連盟の一つが,本改正は基本法9 条1 項(結社の自由)や80条1 項(行政権に対する法規命令の委任)等に反する,という理由で憲法異議を申立てたのである。詳細は省くが,2003年4 月,連憲裁は本件申立に対し理由を付記して不受理の決定を下した63。その中で注目したいのが,銃規制の必要性を説明する箇所である。まず連憲裁は,連盟にも結社の自由が保障されることを承認した上で,他方,立法者が公衆(Allgemeinheit)に対して銃から発生する危険からの保護義務を負う,とする。そして「武器の使用は第一次的には法秩序  その防衛のために国家は武装力(Waff engewalt)を独占(Monopol)する  の保護に資する。私的な目的で銃器を使用しようとする者は,公衆に対するヨリ高められた危険を根拠づける」。したがって,射撃スポーツ規則のような銃規制が必要なのだ,と連憲裁は述べる64。ここではGMが結社の自由を制限する根拠となっているのである。以上,正反対の二つの憲法異議  武器法の強化を求めるもの(保護義務事件)と,武器法の緩和を求めるもの(結社の自由事件)  を見てきたわけであるが,前者ではGM が特に言及されていない一方,後者では基本権を制限する根拠として用いられていた。これをどう理解すればよいのだろうか。一つの理解としては,結社の自由事件において連憲裁は立法権(および行政権)に対し銃規制に関する広範な裁量を認め,その正当化のため都合のよい範囲でGM を利用したのだ,と考えることができる。保護義務事件におけるGM の「不在」は,GM は抽象的な憲法理論としては重要ではあるが,実践的な意義はそれほど高くない理論であることを示しているように思われる。他方,結社の自由事件ではGM が登場し,基本権制約を正当化する役割を果たしている。ただし,GM(厳密には,武装力(Waff engewalt)の独占(Monopol))という概念は一度しか使われておらず,この不受理決定の実質的な決め手は射撃スポーツ規則制度の具体的な合理性にあった。よって,GM に言及しなくとも生命・身体の権利に対する保護義務を挙げることで基本権制約の正当化は可能だったよ63 BVerfGK 1, 95.64 BVerfGK 1, 95 <98>.