109号

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ドイツの銃規制(武器法)に関する基本権保護義務と憲法異議,そして「国家の暴力独占」73うに思われる。結局のところ,連憲裁の判断においてGM は〈基本権制約の抽象的な根拠とはなるが,国家に対する請求権の根拠....

ドイツの銃規制(武器法)に関する基本権保護義務と憲法異議,そして「国家の暴力独占」73うに思われる。結局のところ,連憲裁の判断においてGM は〈基本権制約の抽象的な根拠とはなるが,国家に対する請求権の根拠にはならない〉という意味で,日本における「公共の福祉」のような機能を果たしているといえそうである。樋口陽一の言葉を借用すれば,現在のドイツ法においてGM は,第一次的には「『近代』の公理」ないし「思想」であり,「実定法上のもの」としての位置づけは第二次的なものに留まる,と考えるのが適切ではないだろうか65。ただし近年,公権力の民営化などの場面でGM が使用されるようになっている現状を見ると,将来においてGM が本格的に「実定法上のもの」として立ち現れる可能性は否定できないように思われる。【邦文文献】岡田健一郎(2012)「戦後ドイツ公法学における『暴力独占』論について」一橋法学10巻3 号合原理映(1999)「立法者に対する法改正の義務づけ  ドイツ連邦憲法裁判所における改善義務論」阪大法学49巻1 号合原理映(2004)「立法者に対する法改正の義務づけ  改善義務に関するドイツの学説の考察」阪大法学53巻6 号小山剛(1998)『基本権保護の法理』財団法人社会安全研究財団(2008)『海外主要国における銃砲行政についての調査研究報告書』初宿正典=須賀博志〔編訳〕(2003)『原典対訳 連邦憲法裁判所法』鈴木隆(1997)「ドイツにおける国家任務としての保護(一)」早稲田大学大学院法研論集81号高橋雅人(2013)「州から公益的有限責任会社に移管された精神科病院における拘禁を伴う高権的機能の行使と憲法異議」自治研究89巻12号武市周作(2001)「保護請求権としての基本権」(中央大学)大学院研究年報30号土屋正三(1965)「西ドイツ武器法の概要」警察研究36巻3 号ドイツ憲法判例研究会(ド憲判)(2003)『ドイツの憲法判例〔第2 版〕』畑尻剛=工藤達朗〔編〕(2013)『ドイツの憲法裁判〔第2 版〕』樋口陽一(2010)「『近代』の公理の法学上の再発見とその問題性」日本学士院紀要64巻3 号65 樋口2010:262。