109号

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6 高知論叢 第109号起訴状で記載された公訴事実をそのまま認定して,罪となるべき事実を掲げたのち,証拠の標目として,下記を挙げている。すなわち,「被告人の当公判廷における供述」「証人A,同B,同Cの当公判....

6 高知論叢 第109号起訴状で記載された公訴事実をそのまま認定して,罪となるべき事実を掲げたのち,証拠の標目として,下記を挙げている。すなわち,「被告人の当公判廷における供述」「証人A,同B,同Cの当公判廷における供述」「被告人の検察官調書」「校長,Dの警察官調書」「捜査報告書」「実況見分調書(不同意部分を除く)」「写真撮影報告書」「算定嘱託書謄本,算定書」である。なお,Aは事故現場の先の対向車線から事故を目撃したとする白バイ隊員,B は本件事故の実況見分官,C は衝突時の双方の車両の速度を算定した科学捜査研究室の警察官,「校長」は緊急時対応のためにバスの直後につけていた車に乗車していた中学校長,D は本件バスに装着されているABS の低速時の作動状況等に関して聴取された整備担当のフロント係である。証拠の標目の項では,括弧書きで以下のように判示して,検面調書の任意性を肯定している。「……被告人は,検察庁の呼出しを受け,実況見分調書のような図面を見せられ,これは事故とは全然違うなどと言ったが,押し問答となり,スリップ痕の写真を見せられ,証拠がねつ造されていると感じ,以前に知っていたE 弁護士(当審弁護人)に早く相談したいと考え,事実関係を認める調書の作成に応じたなどと供述する。しかし,被告人は,本件事故直後に逮捕されたものの,勾留されずに釈放され,乙4 号証(検面調書のこと……引用者注)の作成はその約8 か月後に在宅の被告人に対してなされており,身柄拘束を受けた影響は遮断されている上,被告人は,特定の弁護士を具体的に念頭に置いてその助力を受けねばならないと感じていながら,ねつ造された証拠に基づくという調書をわざわざ待って署名押印したことになるが,そのような不合理な行動をした理由は分からないなどと述べているのであって,取調べ状況に関する被告人の供述の信用性は相当に低く,被告人の検察官調書(乙4 号証)の任意性に欠けるところはないとするのが相当である。」確かに判決が言うように,身柄拘束の影響が遮断されているとはいえようか。しかし,本件のように「押し問答になった」ような場合にまで,単純に任意性を認めてよいものであろうか。判決も認定している通り,「特定の弁護士を具体的に念頭に置いてその助力を受けねばならないと感じてい」る状況で,被疑