109号

109号 page 80/104

電子ブックを開く

このページは 109号 の電子ブックに掲載されている80ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
78 高知論叢 第109号学校の新学制転換計画」という文書が,阿部孝高知高校校長名で森戸辰夫文部大臣に提出された。その前文には「本校は新学制の実施に伴い昭和24年度より大学に転換致したいと思いますから別紙書類....

78 高知論叢 第109号学校の新学制転換計画」という文書が,阿部孝高知高校校長名で森戸辰夫文部大臣に提出された。その前文には「本校は新学制の実施に伴い昭和24年度より大学に転換致したいと思いますから別紙書類を添えてご報告致します」1とある。同計画書は文部省の新制大学設置計画や県の要望とも趣を異にする,高知高校側からの新制高知大学側設置計画書であり,旧制高校の当事者(事務局・教員組織)による新制大学像を示すものであった。高知高校側の設置計画書自体は門前払いの形となったものの,高知大学の中核であった文理学部の母体は旧制高知高等学校であった。同設置計画はそれまでの旧制高知高校の教員・学生・事務組織を拡大したものであり,当初,文学部,理学部の2 学部構想があった。学生定員は文学部132名,理学部70名とした。文学部の教員定員115名,理学部は同じく115名,うち教養教育を担う教員は人文科学9 名,社会科学4 名,自然科学5 名として,教養教育と専門教育を一体的に運営するというものであった。旧制高知高校から任用された教員は終戦後の昭和21年3 月に再任用の手続きがなされた。昭和23(1948)年における旧制高校と新制高知大学の教員に再任される予定の教員と専門科目を以下に示した。文系:英語6 名,ドイツ語5 名,古典1 名,歴史2 名,哲学1 名,社会科学1 名,体育2 名,合計20名であった。理系は,物理5 名,数学3 名,科学2名,地学,生物,工学各1 名,合計13名であり,教員合計は33名であった。この高知高校側から出された設置計画書は旧制高校現員数に比して数倍にする強気の計画であった。新制高知大学は組織,施設を旧制高校を母体とする文理学部がその中心であった。大正11(1922)年から昭和26(1951)年の旧制高知高校の文科,理科の定員と卒業生を以下に示した。文科80名  累計2,054名理科160名 累計1,899名旧制高校在職時の教員で新制大学の他学部や他大学に移動した教員数名の他,大半の教員は文理学部に移籍した。1948年,旧高知高校に在職する社会科学の1「 高知大学設置案 高知高等学校の新学制転換計画」(高知高校監庶第66号)1948年5月10日,1頁