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概要

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6高知論叢第110号ここでπは総利潤,πtはt期での利潤,X tはt期での全ての消費者の需要量を合計した総需要量,C(・)はt t期の費用関数である。π1およびπ2をX 1とX 2に関して凸関数であると仮定する。以上で描写した企業の逐次問題に関して,いくつか定義をしておく。定義1(ファーストベスト戦略).下の解である。企業のファーストベスト戦略(X 1 *, X 2 *)は以maxπ.(5)X 1 ,X 2ファーストベスト戦略とは,いわば企業が現在と将来の行動を,逐次決定ではなく同時決定できると仮に想定した場合の戦略である。つまり,これは「コミットメント均衡(commitment equilibrium)」と考えることができる。我々がモデル化しているのは,「企業が将来について約束できない状況」であるが,ファーストベスト戦略とは,「仮に企業が将来について約束できる状況」の戦略であると言える。さて,ファーストベスト戦略(X 1 *, X 2 *)が満たす一階条件(first order condition, FOC)には以下のものがある。∂π∂π1∂π2(X 1 *, X 2)=(X 1 *, X 2)+(X 1 *, X 2)= 0.(6)∂X 2∂X 2∂X 2しかしながら,上述したように,同時決定ではなく逐次決定を行う企業(逐次問題)を我々は考えている。逐次決定において仮にX 1 =X 1 *であったとし,2期目の決定を考えると,逐次決定戦略は以下の解である。maxπ2 ,(7)X 2また逐次決定戦略が満たすFOCは以下の通りである。∂π2(X 1 *, X 2)= 0.(8)∂X 2