ブックタイトル110号

ページ
14/126

このページは 110号 の電子ブックに掲載されている14ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

110号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

110号

8高知論叢第110号3企業の動学的非整合性問題の解決:景品戦略3.1景品戦略定理とその証明企業は景品が当たる「くじ引き券」を,1期と2期に販売する商品1つにつき1枚ずつ添付する。くじの景品は貨幣であるとし,賞金総額は1期の最初に企業によってアナウンスされる6。2期の最後に1枚もしくは複数枚のくじ引き券が当たりくじとしてランダムに抽選され,賞金が当選者に分配される。当たりくじは1期の2期の両方に配布された全てのくじ引き券の中から選ばれることに注意が必要である。景品戦略を実行する企業の利潤は以下のように表現される。π=π1 +π2-Prize=P 1 X 1-C 1(X 1)+ P 2 X 2-C 2(X 2)-Prize.(9)Prizeは賞金総額である。企業は2期の終わりに賞金を分配するため,利潤からはPrizeが減じられている。定理(景品戦略定理).2期間逐次問題において,以下の3つの仮定が満たされるとする。仮定ⅰ独占企業の利潤関数は(4)であり,π1とπ2はX 1とX 2に関して凹関数であるとする。仮定ⅱ消費者の効用関数は貨幣に関して準線形の効用関数を持ち,消費者1人1人は経済全体の総需要量を所与として行動する。仮定ⅲファーストベストX 1 *,X 2 *実行のために,供給拡大的コミットメントが必要である。6企業は賞金総額を1期の最初にアナウンスすると,それを必ず順守するという仮定は,実際に多くの先進国では商法による規制が存在するために正当化される。実際に日本でも景品表示法によって,賞金総額は一度発表されると守らなければならない。