ブックタイトル110号

ページ
17/126

このページは 110号 の電子ブックに掲載されている17ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

110号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

110号

景品戦略の理論:企業の動学的非整合性問題とその解決方法11であるからである。よって企業の総利潤はファーストベストの利潤と等しい。□この定理の主張する内容は,言葉で言うと以下の通りである。景品戦略を採用してはじめに賞金総額を表明することで,企業は自らが将来約束を裏切らないように自らを縛ることができる。具体的には将来の供給拡大というアナウンスを裏切らないように約束(供給拡大的コミットメント)ができることになる。加えて,この戦略はファーストベストと等しい利潤を得られるという意味でコストゼロで実行できる。つまり,景品戦略を行うことは,「信頼性のある約束(credible commitment)」をできることと同値である。3. 2景品戦略定理の解釈ここでは,前節の景品戦略定理がなぜ成立するのか解釈を行う。具体的には,なぜ景品戦略を取った企業は,将来に生産を拡大することを約束(供給拡大的コミットメント)していることになるのか直感的に説明する。もし企業が景品戦略を実施しなかった場合,π2は単純にπ2 =P(X 2 1 *,X 2 |Prize=0)X 2-C(X 2 2)となる。一方,景品戦略を実施した場合,(16)に見られるように,π2は以下の形となる。π2 =P 2(X 1*, X 2 |Prize= 0)X 2-C 2(X 2)+ PrizeX 1 *+X 2X 2 .(22)?―――――――?―――――――??―?―?Prize=0Prize>0つまり,企業が景品戦略を実施した場合,上式の最終項がt=2の最大化問題に現れるのである。PrizePrizeはくじ一枚の価値であるから,この最終項X 1 *+X 2X 1 *+X 2X 2は2期目の消費者が保持するくじの価値を合計したものと見なすことができる。この最終項が現れることが,景品戦略を実施した場合の意義であり,将来に供給拡大することを約束していることになるのだが,それは何故か。以下の2つの問いを考えることでこれに答える。・何故この「2期目の消費者が保持するくじの価値を合計したもの」を表す